死にすぎる財閥令嬢を《未来記憶》で救え!

   Posted on 2020年11月 5日 by me in 小説執筆 

ネタは思いつくけどゲームにするのが難しい。

 ◆

・ランドセルが爆発する
・誘拐される
・スナイパーライフルで撃たれる
・病死
・ゲリラに襲われる

 ◆

2020年6月上旬
登場人物は全員マスクをしている

アリアが自分で時間遡行しない理由は、精神が耐えられないから。
アリアが死にすぎる理由は、命を狙われているから。
瑠璃花は即死しない(必ず意識を失う→時間を遡る)

南部は八剣財閥の追放を狙っている。要人の暗殺はその一環。
背後には中国がついている。
新型コロナウィルスをばらまいたと難癖をつけられる。
この騒動は選択肢による回避が不可能。

 ◆

この物語には以下の要素が含まれています。

・ヒロインの死亡
・血で赤く染まる画面
・鬱展開

枢木小学校の校門を出た直後、
暴走トラックが突っ込んできて、
財閥令嬢は轢かれて即死した。

次の瞬間、私の意識は途絶えていた。

【背景・枢木小学校・教室】
「きりーつ」
誰かの号令で目が覚める。教室だ。
何か不快な夢を見ていた気がする。
「せんせーさよーなら」
今日の授業が終わったらしい。
さあ帰ろう。学校に残る理由は無い。

【立ち絵・アリア】
次の瞬間、私は夢の内容を思い出した。
「八剣(やつるぎ)さん!」
声を振り絞ると、彼女は私の方を向いた。
「ちょっと話があるの」
彼女は黙って、私の「話」を待っている。

【選択肢・001】

【分岐・001・「トラックに気を付けて」】

「トラックに気を付けて」
彼女は意味を掴みかねているようだった。
「校門の前でトラックが暴走するの。あなたはそれに轢かれて即死する」
彼女はようやく口を開いた。
「どうしてそんなことがわかるんですか?」
私は思い出し、吐き気をこらえながら答えた。
「胴が潰れたからよ。あれで生きてると思う方がおかしいわ」
しばしの沈黙。「もしもし」彼女はどこかに電話をかけていた。
「迎えを呼びました。ご忠告ありがとうございます」
「あなた、普段はリムジンで通学してるのに、今日はどうして徒歩で下校したの?」
「運転手に所用が出来たからです」
教室の窓から校門を眺める。
暴走トラックの姿は見えない。
10分ほどして、黒い高級車が校門の前に停まった。
「良かったら、これからうちに来ませんか?」

【分岐・001・「あなた、死ぬわよ」】

「あなた、死ぬわよ」
彼女はきょとんとした後で言った。
「すみません、わたし、テレビ番組は良く知らないので」
テレビの話だということがわかる程度には知っているようだけど。
「言い方が悪かったけど、冗談じゃなくて本当に死ぬよ」
露骨に不快な表情をされる。
「悪趣味です。やめてください」
私は引かずに言い切った。
「校門の前でトラックが暴走するの。あなたはそれに轢かれて即死する」
彼女は押し黙り、しばらく後に弱弱しく聞いた。
「どうしてそんなことがわかるんですか?」

【分岐・001・「ううん、なんでもない」】

「ううん、なんでもない」
私は気のせいだと思うことにした。
たまたま見た夢の話をするような間柄でもない。
単なる不審人物扱いされて終わるだけかも知れない。
彼女は何も言わずに教室を出た。
私は不安になりながら後を追った。
そして、枢木小学校の校門を出た直後、
暴走トラックが突っ込んできて、

BAD END 01

「良かったら、これからうちに来ませんか?」

【選択肢・002】

【分岐・002・「行っていいんですか?」】

「行っていいんですか?」
八剣財閥はこのあたりの土地を牛耳る大金持ちだ。
私たちのような庶民からは畏れられている。
やっかみからか、財閥を快く思わない人だって多い。
「わたしを救ってくださいましたから」
「でも・・・」
暴走トラックは、結局来なかった。
私の夢が正夢だった証拠はどこにも無い。
「どうかお礼をさせてください」
そこまで言われては、断りづらい。
それに、金持ちのするお礼というのにも、興味がないとは言えない。

【分岐・002・「何が狙いですか?」】

「何が狙いですか?」
八剣財閥はこのあたりの土地を牛耳る大金持ちだ。
わざわざ庶民を家に招くには相応の動機が必要だろう。
暴走トラックは、結局来なかった。
私は単に妄想で彼女を怖がらせただけのような状況だ。
「まさか、私のこと、怪しいと思ってます?」
「察しがいいですね」
彼女は隠そうともせずに言った。
「わたしが死ぬ夢を見た人と仲良くなるのが狙いです」
言ってない。
私は「夢を見た」なんて、一言も彼女に伝えていない。
彼女は何か、夢について知っているようだった。

【分岐・002・「お菓子は出ますか?」】

「お菓子は出ますか?」
私は念を押しておいた。
八剣財閥はこのあたりの土地を牛耳る大金持ちだ。
遊びに行くからには山盛りのケーキくらいは出るのだろう。
酢昆布一枚で返されるようでは財閥を名乗らせるわけにはいかない。
「八剣饅頭でいいですか?」
「嫌です。せめてケーキがいいです」
彼女は私より少し高い背で、見下すような視線を向けてきた。
これが本場の財閥令嬢か。ゾクゾクするぜ。
「わかりました。用意します」

八剣さんの家は、小学校の北にある八剣庭園よりさらに北にあった。
まるで西洋の宮殿のような、あるいは一流ホテルのような立派な家だ。
門からドアまで歩くだけでも疲れそうだ。

応接間に通されると、メイドさんが紅茶とケーキを持ってきた。
すごい。きっとホンモノだ。巷のメイド喫茶が偽物かは知らないけど。

「ご存じかと思いますが、改めまして」
財閥令嬢は立ち上がり、優雅にお辞儀をした。
「八剣アリアと申します」
私も立ち上がって名乗る。
「天導(てんどう)瑠璃花(るりか)です」
彼女は座って手を差し出す。
座るように促す仕草に見えたので、私も座りなおした。
ひとまず紅茶に口をつ
「待って! 紅茶を置いて!」
言われるがままに飲み損ねた紅茶をカップに戻す。
「その紅茶、南部の御三家の方から戴いたものなんです」
彼女が何を言いたいのかが掴めずにいると、横からメイドさんが説明してくれた。
「紅茶は遅効性の毒入りでした」
この紅茶が? 毒?
「私を殺すつもりですか」
私は途端に恐ろしくなってきた。
「それはこっちの台詞ですよ。天導さん。と言いたいところですが」
「瑠璃花さんは無関係だと思います」
二人が話し合って勝手に納得している。
「失礼いたします」
メイドさんが私のカップを手に取り口をつけた。
「紅茶は安全なものに差し替えてあります」
そう言われても今更飲む気は起きなかった。
「どういうことなのか説明してください」
私が促すと、八剣さんは簡潔に説明してくれた。
「南部の御三家、天導家、冥門家、降魔家が、私の暗殺を企てているんです」
犯人はウチだった。
「なんか、すいません」
私はもはや謝るしかなかった。
祖母が財閥を執拗に敵視している事は知っていたが、ここまでとは思っていなかった。
ということは、私はこれからどうなるのだろうか?
「これをお持ちください」
メイドさんが私に昔の携帯電話を渡してきた。番号のボタンを押すタイプだ。
「このPHSで、小学校から半径5km以内なら通話出来ます」
結構広い。この家でも繋がるようだし、私の家でも繋がるのだろう。
「天導さんがお嬢様と繋がったことは内緒にしていただけますか」
疑問形では無かった。いいえの選択肢が無い、念押しだ。私はただ頷いた。
つまり、私はスパイとして泳がされるのだ。軟禁されるよりはずっといい・・・。


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Last-modified: 2021-02-22 (月) 06:22:44