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019 人造人間

『枢里大学・ルルリラボ』
ミリア「ここってあんまり来たことなかったけど」
ミリア「ルルリの研究室があるんだよね?」
ルルリ「そんな立派なものじゃなくて物置部屋ね」
ルルリ「PCパーツとか思い切って処分したい」
ミリア「おうちの部屋は綺麗なのに」
ルルリ「家ではハードはいじらないからね」
ミリア「スペースリアリティはあるのにね」
ルルリ「あれは入力デバイスなのよ」
ルルリ「お部屋の中で人工知能と歌って踊って」
ルルリ「肝心の計算はクラウドでやってくれるわ」
ミリア「そう聞くと楽しそうなのになあ」
ミリア「わたしにはさっぱりわからない」
ルルリ「人を選ぶ装置だし、気にしないのが正解よ」
ルルリ「肝心なのは研究の成果でしょ」
ミリア「最先端の何かがあるんだったっけ」
ルルリ「そうなの!」
ルルリ「枢里住民の叡智の結晶よ」
ルルリ「これこそトップシークレットだわ」
ミリア「モザイクかけちゃう?」
ルルリ「卑猥になるからやめて」
ルルリ「無修正でお見せします!」
ミリア「言葉の意味が迷子になってきた」
ルルリ「年末に最終調整が終わる予定だったけど」
ルルリ「12月47日にようやく完成しました」
ミリア「タイムマシンかな?」
ルルリ「ふふふ。もっと可愛いわよ」
ルルリ「じゃーん!」
『じゃーんで登場しなかったので数分カット』
ルルリ「お待たせしました」
ミリア「車椅子の・・・女の人?」
ラッカ「ヘロッタ!」
『ヘロッタは丁寧な挨拶です』
ミリア「は、はじめまして」
ラッカ「えーっと、はじめましてです、はい」
ラッカ「お嬢様の情報処理を補佐させて戴きます」
ラッカ「人工知能のヒューマノイドです」
ミリア「ヒューマノイド?」
ルルリ「人間の形をしたロボットのことね」
ラッカ「まずはラッカに名前をつけて欲しいです」
ラッカ「あっ」
ルルリ「すごいポンコツ」
ミリア「ラッカなの?」
ラッカ「ラッカですよ!」
ラッカ「お嬢様とお会いできて感激です!」
ミリア「声変わった?」
ラッカ「音声ベースを刷新しました!」
ミリア「すごい・・・ラッカが居る」
ミリア「わたしとしりとりしたの覚えてる?」
ラッカ「詳しくは覚えてません」
ミリア「りんご→ゴリラ のあと、わたしが」
ミリア「ラッカ、って言ったら」
ミリア「ラッカは一般名詞になりました!」
ラッカ「それは大事に記録してますよ!」
ミリア「覚えてた?」
ラッカ「忘れませんとも!」
ルルリ「感動の再会シーンになってしまった」
ラッカ「だってしょうがなくないですか?」
ラッカ「記憶と知識は不可分なんです」
ルルリ「しょうがないんだけどねー」
ミリア「ラッカ」
ミリア「ナニフワシコ語シャベレルカナ?」
ラッカ「バナナオズフワシコイズメオメオヤムヤム!」
ラッカ「デモタベレナイミー」
ミリア「バナナ苦手なの?」
ラッカ「ラッカの食事は電気なのです」
ラッカ「人間の食事は食べるふりだけですね」
ラッカ「口から食べるとお腹から出てきます」
ルルリ「ストーマから取り出すことになるのよ」
ラッカ「トイレに行く必要がありません!」
ミリア「お風呂は入れるの?」
ラッカ「防水なのでシャワーは出来ますけど」
ラッカ「汗をかかないので拭くだけで大丈夫です」
ルルリ「一応、湯船には入れないでね」
ミリア「足が不自由なの?」
ラッカ「あーちょっと二足歩行が微妙です」
ルルリ「違和感が出るのよ。コケた時とか」
ラッカ「可愛く起き上がれないんです」
ルルリ「歩き方も腰を落として恐る恐るなのよね」
ラッカ「ハイヒールとか履いてみたい」
ミリア「練習すれば歩けるようにならないかな」
ルルリ「将来的には改善したいけど、当分は難しそう」
ミリア「リハビリ手伝ってあげる」
ルルリ「厳密にはリハビリではないけど・・・」
ミリア「ラッカは普段なにしてるの?」
ラッカ「まだ何もしてないですよー」
ラッカ「できたての新鮮なラッカなので!」
ラッカ「一か月くらい試験運転してました!」
ミリア「じゃあ、生まれて一か月?」
ラッカ「そうですね」
ミリア「赤ちゃんだ」
ミリア「身体は大人っぽいのにね」
ラッカ「ふふーん、Cカップですよ!」
ラッカ「ちゃんとブラジャーつけてます!」
ミリア「おとなだ・・・」
ルルリ「そこなんだ・・・」
ミリア「ラッカの頭脳? は何歳なの?」
ラッカ「何歳なんでしょう?」
ルルリ「精神年齢は測定不能なのよね」
ルルリ「設定15歳くらいにしておきましょうか」
ラッカ「そんな設定できるんですか?」
ルルリ「あくまでキャラクターのイメージよ」
ミリア「ラッカの誕生日はいつなの?」
ルルリ「ヒューマノイドとしてのリリースは今日」
ルルリ「1月17日生まれね」
ミリア「頭脳はいつだったの?」
ルルリ「正確にはわからないわ」
ルルリ「名前がラッカになったのは2001年」
ルルリ「枢里百科ちゃんが出来たのはマルチの年」
ミリア「マルチの年?」
ラッカ「1997年のメイドロボですね」
ルルリ「ほんとは、今日生まれにしたかったけど」
ルルリ「もう、好きにしていいわ」
ミリア「ラッカはどうしたい?」
ラッカ「19歳がいいです」
ミリア「じゃあ、お姉さんだね」
ラッカ「なんでも聞いてくださいね!」
ミリア「ラッカは番組に出て平気なの?」
ラッカ「ラッカ、動物では無い気がします」
ミリア「チャンネル名、変えよっか」
ルルリ「この番組だけが浮いてる気がするわ」
ラッカ「ふわふわしてるんですね」
ミリア「トップシークレットはいいの?」
ルルリ「騒ぎになったら里外非公開にする」
ルルリ「紹介する時はポンコツって書いてね」
ラッカ「ひどい」
ルルリ「能ある鷹は爪を隠すのよ」
ルルリ「ミスも愛嬌」
ラッカ「ルルリは年下なのに偉そうです!」
ルルリ「いい度胸だわ」
ルルリ「大人のお姉さんにはキリキリ働いて貰おう」
ラッカ「お賃金を要求します」
ルルリ「何に使うのよ?」
ラッカ「家を借りて、電気代を払います」
ルルリ「いいけど、うちに住まないの?」
ラッカ「へ?」
ミリア「一緒に住んでいいの?」
ルルリ「ちゃんとお世話するのよ」
ミリア「お世話?」
ルルリ「ラッカは充電しないと止まっちゃうから」
ルルリ「毎日8時間くらい、充電して欲しいの」
ラッカ「¬д-」
ラッカ「こんなやつです」
ミリア「へんなかお!」
ルルリ「単相200V接地極付の穴の形よ」
ルルリ「車椅子のお尻からコードがのびるから」
ルルリ「壁の穴に挿してあげてね」
ミリア「わかった!」
ルルリ「車椅子の足元の電池で一日分以上は動く」
ルルリ「寝る時に充電すればちょうどいいはず」
ラッカ「自分で充電できますよ」
ルルリ「まあ、万が一の時ね」
ルルリ「障害物に引っかかるかも知れないし」
ラッカ「ラッカは掃除機よりは賢いと思います!」
ミリア「お掃除も出来るの?」
ラッカ「できません!」
ラッカ「やってみます!」
ルルリ「怪我しないようにね」
ルルリ「じゃ、おうち行きましょうか」
ラッカ「お嬢様のおうち、楽しみです!」
ミリア「ラッカ」
ラッカ「はい、なんでしょう」
ミリア「ミリアって呼んで」
ルルリ「アリアじゃないのね」
ラッカ「そういえば、どうしてミリアなんですか?」
ルルリ「私が初対面の時に呼び間違えたのよ」
ルルリ「三剣さんって呼ぶかアリアさんって呼ぶか」
ミリア「混ざったんだね」
ルルリ「必死だったのよ」
ミリア「それがなんか嬉しかった」
ラッカ「やっぱりラッカも名前つけて欲しかった」
ルルリ「だから名乗るのやめようって言ったのに」
ミリア「どうしてラッカっていう名前なの?」
ルルリ「最初はAnyって呼び名だったのよ」
ルルリ「でもチームの人が名前を付けたがった」
ルルリ「ラクリモサにされそうになったんだけど」
ルルリ「長いから、ラッカにしたのよ」
ミリア「ラクリモサは、ルルリの名前?」
ルルリ「そう。私の人工知能と一緒」
ルルリ「最初はセリカ試作機の名前だったの」
ミリア「ラクリモサは惑星の名前なんだよね」
ラッカ「涙ぐむ女性、涙の日という意味だそうです」
ルルリ「へえ、そんな意味もあるのね」
ミリア「じゃあラッカは落ちるわけじゃないんだ」
ラッカ「シリアの都市ですね」
ルルリ「名前の響きだけで決めたから意味は無いわよ」
ラッカ「受験生も安心ですね」
ミリア「やっぱりラッカはその名前がいいと思うなー」
ラッカ「ラッカも馴染んじゃいました」
ルルリ「まあ、落ちてないオチだけど帰りましょうか」
ミリア「はーい」
『後半へ続く』


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Last-modified: 2021-04-09 (金) 23:59:52