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009 家計簿

ルルリ「午後からはエルハ家の家計簿のお話です」
ミリア「枢里住民の生活に迫ります」
エルハ「クルルという枢里の地域通貨があります」
エルハ「これで生活に必要なものは大抵買えます」
ルルリ「単位記号はセントと同じ¢」
エルハ「枢里社員はみんな安月給なんですけど」
エルハ「給料をクルルに変えると倍になります」
ルルリ「額面の最低給与が88000円」
ルルリ「手取りだと75000円くらいね」
ルルリ「これをクルルにするから15万¢」
ミリア「それはどれくらい安いの?」
ルルリ「日本人の年収の中央値は370万円」
ルルリ「12で割って手取りにすると」
ルルリ「だいたい月25万円くらいかしらね」
ミリア「枢里の3倍以上あるんだね」
エルハ「労働時間が倍くらい違うからですね」
ルルリ「日本のパート労働は時給が安いから」
ルルリ「週24時間同士なら差は少ないかもね」
ミリア「多く働くと時給も増える?」
ルルリ「それで働く人と無職が極端になるのよ」
エルハ「ほどよく働けないんですよね」
ミリア「たくさん働くのは良くないの?」
ルルリ「サービス残業や過労は論外として」
ルルリ「枢里がフルタイムに出来ない理由は」
ルルリ「単に全員分の良い仕事が無いからよ」
ルルリ「全員分ってところが重要なの」
ミリア「全住民を一生雇用するんだっけ」
ルルリ「終身雇用ね。65歳の年金支給開始まで」
ルルリ「仕事が無くても雇い続けるのよ」
エルハ「普通は仕事が無くなったらクビですけど」
エルハ「みんなで仕事を分け合ってるんですね」
ミリア「仕事の量が平等なんだね」
ミリア「良い仕事っていうのは?」
ルルリ「枢里を出なくても働けて」
ルルリ「ストレスが少なくて長く続けられて」
ルルリ「やりがいや興味を感じることが出来て」
ルルリ「カネになる仕事ね」
エルハ「難しいですね」
ルルリ「ITのテレワーク仕事が多いけど」
ルルリ「単価は年々下がってるわね」
ルルリ「プログラミングが出来れば稼げるけど」
ルルリ「本当に出来る人は一握りだわ」
ミリア「みんなが出来る仕事は少ないの?」
ルルリ「誰でもできる仕事は安くなるのよ」
ルルリ「枢里の人だけが得意な仕事じゃないと」
ルルリ「枢里全体が高給取りにはなれないの」
ミリア「みんな何が得意?」
ルルリ「得意なのはスローライフだわ」
ルルリ「仕事のことなんか思い詰めないで」
ルルリ「ゆっくり好きなことして過ごすのよ」
エルハ「だから安月給でも気にしないですね」
ミリア「うーん」
ルルリ「むしろ労働時間はもっと減らしたいの」
ルルリ「給料も少ないほうがいいのよ」
エルハ「少ないほうがいいんですか?」
ルルリ「生活に日本円が必要だから給料を稼ぐ」
ルルリ「日本円が要らなければ給料も要らない」
ルルリ「給料がゼロに近づくほど自由なのよ」
エルハ「斬新な発想ですね」
ミリア「給料をゼロにしたらどうなるの?」
ルルリ「家賃が払えないし水が飲めなくなるわ」
ルルリ「食糧と電気は何とかなるけど・・・」
エルハ「何とかなるんですね」
ルルリ「枢里はカロリー自給率100%」
ルルリ「発電量も1日460MWhで十分よ」
ミリア「家も工場で作ってるよね?」
ルルリ「材料はタダじゃないし」
ルルリ「何より固定資産税がかかるのよ」
エルハ「税金高いですもんね」
ルルリ「給料ゼロなら所得税と住民税はゼロ」
ルルリ「国民年金と健康保険も減免でほぼゼロよ」
ルルリ「それでも固定資産税だけはかかる」
ルルリ「土地と家のために働いてるようなものね」
ミリア「タダにならないかな」
ルルリ「政治家になって法律を変えればいいわ」
ルルリ「総理大臣は25歳からだけど」
ミリア「遠いなあ」
エルハ「あ、私、来月で25になります」
ミリア「やった」
エルハ「総理大臣にはなりませんよ」
ミリア「えーっ」
ルルリ「そんな簡単になれるもんじゃないわよ」
ルルリ「まず与党にならないといけないし」
ミリア「与党に入れて貰おう」
ルルリ「お爺様方の中で一位にならないといけないわ」
ルルリ「自分の政党を作った方が確実だと思うけど」
ルルリ「やるんなら日本全体を見ることになるわね」
ミリア「わたしは枢里だけでいっぱいかな・・・」
ルルリ「それがいいと思うわ」
ミリア「月15万¢は何に使われるの?」
エルハ「まず、家賃が5万¢です」
ルルリ「狭い家の人は3.5万¢」
ルルリ「エルハは私室8畳、30平米の広いタイプね」
エルハ「電気代と水道代が込みです」
ルルリ「オール電化なのでガス代は無いわ」
エルハ「通信費は6千¢」
ルルリ「光回線で無線ルータもセットね」
ミリア「安い?」
ルルリ「田舎は単身用物件が無いから比べにくいけど」
ルルリ「家賃はかなり安いほうだと思うわ」
エルハ「ユニットハウスが珍しいですよね」
ミリア「みんな四角いおうちだもんね」
ルルリ「気軽に建てて27年ごとに取り換えるのよ」
ルルリ「築浅の戸建てと言えば贅沢に感じるでしょ」
エルハ「家には不便さは感じないですね」
ミリア「お風呂・・・」
ルルリ「浴槽を足したら余計手狭になるでしょうね」
エルハ「駐車場無いのは不便だと思いますけど」
ミリア「車、停まってるよね?」
エルハ「そのために隅っこの土地にして貰ったんです」
ルルリ「だから住宅街のはずれに住んでるのね」
エルハ「普通は停める場所無いですからねー」
ルルリ「無いわね・・・」
ミリア「駐車場は増やせないの?」
ルルリ「一軒の土地が7m四方」
ルルリ「家は20ftコンテナ2つ分」
ルルリ「幅6m、奥行き4.8m」
ルルリ「建ぺい率は60%で隣とは50cm空ける」
ミリア「車置けないね」
エルハ「運転手、増えるわけないですよね」
ルルリ「3人世帯なら1台置けるのよ・・・」
エルハ「というわけで、駐車場代が4千¢です」
ミリア「ふむふむ」
エルハ「食費は4万5千¢ですね」
エルハ「うちは基準通りの外食です」
ルルリ「朝食300¢、昼と夜が600¢ね」
ルルリ「枢里は外食文化だけど、自炊しても同じよ」
エルハ「地産地消の自炊に拘れば安くなるそうです」
ミリア「安さは普通くらい?」
ルルリ「さっきのイタリアンはいくらだったの?」
ミリア「わかんない・・・」
ルルリ「まあ、一人二千円は下らないでしょうね」
ルルリ「夕飯もレストランなら千円以上するわね」
エルハ「牛丼屋とか安い所なら600円以下ですね」
ミリア「食堂は安めなのかな」
ルルリ「値段の割には充実してると思うわ」
ルルリ「ただ、家計としては食費は高めだわね」
ミリア「よその人はどうやって安くしてるの?」
エルハ「もやしと豆腐ですかね」
ルルリ「肉を小分けにして冷凍したりとかね」
ルルリ「サラダも大量に作ってチマチマ食べるのよ」
エルハ「あとは袋めんとか」
ミリア「実際にやってみないとわからなさそう」
ルルリ「今度ティーさんで試してみましょう」
エルハ「あとは、日用品と被服費で2万¢」
ルルリ「エルハはいい服持ってるわよね」
エルハ「車もそうですけど、里外の物は日本円です」
エルハ「クルルで買えないものは倍高く感じます」
ミリア「服は自分で作ればタダだけど・・・」
エルハ「私はブランド物が好きですね」
エルハ「さすがにスマホは変えましたけど」
ルルリ「枢里はスマホ全員支給だから」
ルルリ「他のOS用のアプリを作ってないのよね」
ミリア「わたし、林檎のやつ、見たことない」
ミリア「すごい高いんだって」
エルハ「私のお古は売っちゃいました」
ルルリ「日本では流行ってるらしいわよ」
ミリア「日本人はお金持ち」
エルハ「あとは、持株会があります」
エルハ「毎月1万¢以上の購入がお勧めされてます」
ミリア「セリカ宣言にあったね」
ルルリ「毎月買ってれば今頃250万¢以上ね」
ミリア「買うとどんないいことがあるの?」
エルハ「特にないですね」
ミリア「無いの?!」
エルハ「上場しないから儲かるわけでもないし」
エルハ「配当金が貰えるわけでもないです」
ミリア「エルハさんは買ってるんですか?」
エルハ「毎月1万¢だけ買ってますよ」
ルルリ「偉い」
ミリア「いいことないのに買ってるの?」
エルハ「枢里の経営意識のためなんだそうです」
エルハ「ふるさと納税みたいな感じですね」
エルハ「毎年、お礼のお手紙が届きます」
ミリア「誰から届くの?」
エルハ「三剣芹香さんです」
ミリア「なるほど」
ルルリ「ここまでで13万5千¢」
ルルリ「あとは医療費とかかしら」
エルハ「あとは自動車関係の税金や保険の積み立てと」
エルハ「ガソリン代と娯楽費と交際費と色々です」
ミリア「足りるの?」
エルハ「私は15万¢より多く貰ってますから」
エルハ「運転の仕事は時給100円増しです」
ルルリ「大特も?」
エルハ「大特は専門資格なので300円増しです」
エルハ「週5希望出してる時もありますね」
ルルリ「働けるの?」
エルハ「大特は人手不足っぽいですよ」
ミリア「どんな仕事ですか?」
エルハ「農機とかユニックの運転ですね」
ルルリ「クレーン付きトラックね」
ルルリ「ユニックは古河機械金属の登録商標です」
エルハ「クレーン付きトラックの運転ですね」
ミリア「今度、見学してもいいですか?」
エルハ「いいと思いますよ」
ルルリ「エルハって枢里では高給な方よね」
エルハ「手取り25万くらいですね」
ミリア「多い気がする」
ミリア「貯金も出来そう」
エルハ「クルルは貯金できないんですよ」
ルルリ「クルルの有効期限は一か月だけ」
ルルリ「交換しすぎたぶんは株の積み立てに回る」
ルルリ「日本円で持ってれば貯金できるけど」
エルハ「私は奨学金の返済があります」
ミリア「奨学金?」
エルハ「短大のお金を借りたんですよ」
エルハ「15年間、毎月3万¢返します」
ルルリ「しんどいわね」
エルハ「貯金するより繰り上げたいですね」
エルハ「欲しいものは買うと思いますけど」
ルルリ「漠然と老後の為に貯蓄しないって事ね」
エルハ「年齢相応の暮らしを心がけようかと」
ルルリ「エルハは安定してそうな気がするわ」
ミリア「今回はこのへんで終わりまーす」
ルルリ「結構喋ったわね」
ミリア「前回の布告、資格を取ろう、の回答も」
ミリア「まだまだ募集中です!」
ミリア「前に出した回答を書き直してもいいです」
ルルリ「資格、取ってあげてね」
ミリア「エルハさん、ありがとうございました!」


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Last-modified: 2021-04-10 (土) 00:03:38