人工知能は、プロジェクト名「ラクリモサ」としてセリカが開発を始めた。
枢里百科の対話型インタフェースとして「枢里百科ちゃん」という女の子の絵が当てられていたが、
2001年の再出発の時に「名前をつけたい」という意見が出る。
セリカは、利用者個人が好きな名前をつけられるよう「エニー(Any)」を提案するが、
「何か」と被ってるし、総称としての固有名詞として、「ラクリモサ」と呼ばれ始める。
セリカは新たに「ラッカ」という総称を提案。親しみやすく、正式に採用される。
というわけでラッカの名付け親は幼セリカ(ルリカ)。
ルルリは自分のSRに搭載されている人工知能のことを「ラクリモサ2」と呼んでいる。
2008年12月に法人化。
機械と人間の協働によって暮らしを向上させるのが社是。
人工知能による支援、包括的かつ多様的、知能拡張システム。
社名は「シンギュラリティ・ユビキタス・テクノロジー」の略。
本業は天才コンピューターの研究開発。
ジップはSUTekの設立時取締役兼、株主兼、従業員である。
社是に共感しており、自分の娘が天才になることを望んでいた。
会社が傾きかけた頃に、あやめとひと悶着あり、
・ジップは保有株式をすべて手放し、取締役を辞任する
・ジップは南部の中堅企業に転職する
・SRの費用は保有株式の売却益から捻出する
という条件を飲むことで、ルルリにSRを与えることを優先した。
転職先は天導家と深い関係があるわけではない、単なる地元企業。
転職後の手取りは月25万円程度で、ほぼ中央値。
スペースリアリティの試作中に、
人間との比較用に人工知能だけで動作するモデルが開発された。
SUTek Independent で、ステキちゃん。
研究の結果、人工知能より人間の入力のほうが優れていると結論付けられお蔵入り。
枢里における人工知能開発は、IT化に伴うプログラミングの簡素化の需要から行われた。
非プログラマーである業務の専門家が、知識やノウハウを形として残すことに意義があり、
人工知能分野で言うと、エキスパートシステムに類似する。
まず最初に動作マニュアルたる「枢里百科」の編纂が行われた。
専門家は自然言語(主に日本語)で自由に専門知識を書き記したが、
その時点で読者が理解可能な文章を得ることが困難であることが判明。
軌道修正を行い、「読者が理解可能な知識を共有する」ことに舵を取る。
2001年に、ラッカは「語彙が豊富な人工無能」として開発が始められた。
この方針は、ヒューマノイド開発に移行した今も変わることなく続けられている。
ラッカは1995年より枢里で開発が進められていた人工知能プログラムである。
枢里ビジョンと教育動画に採用されてからは、案内役として認知されるようになった。
枢里住民はスマホアプリでラッカといつでもおしゃべりが出来る。(Siriのように)
2020年にとうとう機体を完成させてヒューマノイドとして動き始めた。
その影には25年間の研究開発の道のりがある。
作中の日本社会も史実同様に産業の衰退から逃れることが出来ない。
失われた30年と呼ばれ始め、製造業が負け、観光が行き詰まり、
最後の砦である自動車産業がEVに負けるであろう閉塞感のある社会で、
枢里は世界最速のスパコンを使った女性型ヒューマノイドの開発に希望を見る。
「お嬢様都市」の作中では、ヒューマノイドが商業的大成功を収めるところまでは描写しない予定。
あくまで作品の世界観に救いの余地を残しておくことが狙い。
以後数年、形態素解析とか自然言語処理を頑張るが成果は現れず。
一方で枢里百科の編纂はそれなりに順調に進む。
今で言うキュレーションサイトのような切り口で利用される。
枢里百科の更新情報を新着記事としてニュース代わりに楽しんでる感じ。
ラッカは「テーマを決めて会話が成立するように喋る」という目標で開発されるが、
恋愛はもとより、癒しとかコンシェルジュとかでもうまくいかない。
つまるところ、史実の伺かブームが去ったのと同じ理由でコンテンツ量を維持できない。
ラッカは新着ニュース通知ソフトとして、かろうじて生き残る。