ミクル版

ここまで74HIT、貰ったレス1

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文字数との戦いは続いている。

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「とりあえず、年収はおいくらですか?」
「言わないとダメですか」

姉の口車に乗せられて、結婚相談所に来ている。
やり手の友人が担当についてくれるという話だったが。

「言わないとダメですね」

男は仕事、という時代は、まだ終わっていないのだと感じた。

「650万円です」
「年収は平均的」

事務的な対応だった。

「平均年収よりは多いと思ってました」
「都内の結婚相談所に登録する30代男性としては平均的です」

自慢するほど多いとは思ってなかったが、自信を失うほど少なくも無い。
面と向かって多くないと言われるのは初めてで、軽くショックを受けた。

「勇介さんは、年齢も年収も身長も平均的」

身長は173センチ。

「ですから、決して高望みはしないでくださいね」
「はあ」

釘を刺された。

「それで、どのようなご結婚をお望みですか?」

それなら決まってる。

「恋愛結婚がしたいです」

返事は無かった。
場違いなことを言ったのかも知れない。

「その、お互いの気持ちを重視する、的な関係というか」
「気持ちが大事、と」
「そうです!」
「お相手の条件は?」

特に無いのだが、一つだけ強い希望があった。

「年下がいいです」

理由は2つ。
一つは、姉と被ってしまうと冷めるから。
一つは、前に付き合っていた年上の相手とは変えたいからだ。

「みなさんそう仰います。他には?」

流された。と不満を感じたことで、
自分が話を聞いて欲しいと思っていることに気が付いた。

「寄り添って、話を聞いてくれるような人がいいです」
「なるほど、わかりました。対応させていただきます」

対応して貰えるのか。
話はそのまま説明に移った。

「私どものサービスでは、お相手の方をプロの目で厳選いたします」

マッチングアプリのような、自分で検索して申し込む形とは違うらしい。
写真で選ぶと内面の魅力が伝わらないという説明には納得した。

「勇介さんはご紹介を戴きましたので、入会金は5万円」

他に、3か月ごとに3万円、成婚料が20万円。
マッチングアプリよりは高いが、相談所としては安いのだろう。
細かい説明を聞いているうちに、やる気が沸いてきた。
もっとも、相手を紹介して貰うのを待つだけなのだが。

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Last-modified: 2021-04-02 (金) 21:30:36