ブラックジョーク

非ふわふわ。お客様はルルリ感。

メモ

2020-07-07
2020-09-01

黒人が米国で暴動を起こした事件の後、
「ブラックリスト」とか「ホワイトリスト」みたいな表現が自粛された時に書いた話。
当然「イエロー」もダメ。「ニガー」も差別的な言葉。
名前の表記は無いので、店員さんとお客さんが必ず交互に喋るようにしている。
どうでもいいけど、白川と黒田は日銀の総裁。

本文

「いらっしゃいませ。あらお客様、お久しぶりですね」
「外出自体が久々なのよ。新作を見せて戴けるかしら」
「こちらのフルーツ柄ワンピースが新作になります。ブラウスと併せて戴いて・・・」
「これだとブラウスはシr」
「お客様!」
「えっ、意外に他の色のほうが似合うかしら? たとえばクr」
「お客様っ!! 困ります!」
「いきなり大きな声でどうしたのよ」
「色の呼び方は正しく仰って戴かないと。こちらは、ミルク色のブラウスになります」
「はあ・・・じゃあ、そっちのドレスの色は?」
「そちらはコーヒー色でございます」
「なるほど。ということは、あれはカフェオレ色ね」
「あちらはグレーでございます」
「解せないわ。この苺の色はストロベリー色?」
「赤でいいんじゃないでしょうか」
「私の髪は瑠璃色ね」
「それも青で」
「じゃあバナナは?」
「クリーム色」
「そこはバナナ色にしようよ!」
「あのですね、これは最近、法律で定められたものでございまして」
「法律? どんな?」
「人種差別禁止法でございます」
「ははあ、なるほど。コーヒー人のアレがああなったのね」
「その、コーヒー人って表現も違法ですよ・・・」
「じゃあ何て呼べばいいのよ」
「肌の色で人を呼び分けることは出来ないのです。そういう法律ですから」
「ちゃんとモンゴロイドみたいに呼ばないといけないのね」
「それもたぶんダメです」
「むぅ・・・ところでコーヒーってそのまま飲んだら苦いわよね」
「苦しい、ですね」
「くるしくはないでしょ・・・まあいいけど。徹底してるなあ」
「もう世界じゅう大混乱ですよ。何も知らないお客様は初めてです」
「たまには外に出ないとだめねえ」
「わたしじゃなければ通報されてるところでしたよ」
「最初に喋ったのがあなたで良かったわ、ええと、乳川さん」
「そこはひねらず、ミルク川で大丈夫です」
「いや、違和感ありまくりでしょ・・・」
「法律ですから」
「これからは日常会話にも気をつけないといけないわね」
「そうですね。わたしは最近、ご飯をやめてパンにしました」
「ミルク米は美味しくないでしょうしね。お味噌は赤かしら」
「合わせですね」
「卵はクリーム身とミルク身に分かれるのね」
「もはや単体でお菓子ですね」
「水を温めると」
「お湯」
「それはそうね・・・わざわざミルク湯とは言わないわね」
「水を温めるだけでホットミルクになればいいんですけどね」
「食後にコーヒーをコーヒーでお願いします」
「お砂糖とミルクはお使いじゃないですよね」
「ややこしいから次から紅茶を頼むわね」
「お砂糖はミルク砂糖とコーヒー砂糖からお選びいただけます」
「ストレートティー! ノンシュガー! クリームレモン!」
「レモンはそのまま呼ばないと少し危険です」
「ホワ・・・ミルクチョコとミルクチョコは区別がつかないわね」
「ココアバターから苦しみを取り除いたかどうかの違いですね」
「さあ楽にしてやろう」
「お葬式はみんなコーヒーの服」
「棺桶の中はたっぷりミルク。遺影はカフェオレ」
「そこはモノクロで、いやカラーでいいんじゃないですかね・・・」
「でもCMYKはCMCCになっちゃうわね」
「CMRFだそうですよ」
「苦しすぎる・・・」
「RGBはいいけど、信号機は赤クリーム青になっちゃいました」
「虹の色もクリームだけ浮くのね」
「山手線も目ミルクと目コーヒーと高輪ゲートウェイだけ浮きます」
「ゲートウェイ浮きすぎでしょ。ミルク金台?」
「クリーム金の国ジパングです」
「ミルクハウス?」
「メルヘン」
「好きです、付き合ってください」
「告ミルク」
「自分がやったと正直に認めたらどうだ」
「ミルク状、自ミルク」
「言葉狩りとは虚しいものだな・・・」
「? あっ独ミルク?」
「正解。次の問題。三大栄養素と言えば、炭水化物、脂質と」
「タンミルク質」
「衣類についたシミや汚れを落とすのに使う薬剤といえば」
「漂ミルク剤?」
「心が清くて私欲がなく、後ろ暗いことのまったくないさま」
「清廉ケツミルク」
「なんかばっちい」
「牛乳を出すのは鼻までにして欲しいですね」
「腹コーヒー」
「タダだからっておかわりしすぎ」
「お歯コーヒー」
「モーニングにはトーストがついてきますね」
「ミルク星とコーヒー星」
「白が勝ちで黒が負けっていうのもダメなんだそうです」
「通報」
「あっ」
「この際、ミルクコーヒーはっきりさせようじゃないか」
「二層アイスカフェオレをご注文ですね」
「いえ、十分に満足したわ。フルーツ柄ワンピースをお迎えするわね」
「ありがとうございます。金額はこちらになります」
「クレジットで」
「それではこちらにご署名をお願いいたします。その、コーヒー田、と」
「急に結婚したくなってきたわ。いい人紹介してくださらない?」


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Last-modified: 2021-02-21 (日) 08:08:21