ミリアとルルリのゴール。
Posted on 2020年12月15日 by me in 小説執筆
ミリアの宣言はひと悶着あるので10本全部使うかも。
◆
ルルリの7月。
(問題提起はだいたい6月末までには終わらせたい)
自分で働いて稼ぐのが正解。フリーランスが最強。(ふわふわ6話)
でも、フリーランスになれない人もいる。(同1節)
権利主張ばっかりで努力しない人はダメだし、
そんな人を甘やかすような配り方も良くない。(同9話など)
安い時給で働く人がいるから安い所持金で生活が出来る。
その人たちの給料を無理やり上げると、会社は人件費の安い地域に移る。
(自治体が最低賃金を条例で上げられるか調べたが、
地方自治法に違反する、という答弁があるのを見つけたので、
市長選に勝った南部が実際に試した話とかは書きにくそう)
移らない可能性があるとしたら、商品価格を上げて儲けが維持できる場合だが、
消費者が倍になった給料で人件費の安い地域で買い物をするだけで破綻する。
所得税を増やしたら働く人が減る。(想像)
資産課税をかけたら、逃げられるか、お金を隠される。(想像)
全員の全財産を没収して共産化したら、国ごと崩壊する。(史実)
ルルリは6月末の時点で答えにたどり着かない。(ふわふわ6話1節)
枢里は三剣マネーで豊かに見せかけてるだけの虚構の理想郷だ。
グループの事業が失敗して枢里の資産に手を付けただけでも生活は破綻するし、
それを分社化で防いだとしても、枢里会社が倒産すれば結果は同じだ。
自給自足を謳っているけど機械が無いと農業すら出来ないし、
自由を尊重してると言うけど、民主主義すら成り立ってない。(ミリア大好き)
まず第一に枢里社員自身に自立心がまったく芽生えていない。
大企業に入社出来てなんか落ち着いちゃってる気分の人ばっかり。
そして肝心のミリアには財閥運営の才能が無さそうだ。
まず、グループ全体を視ようとしない。枢里スケールでしか考えられない。
枢里に関係ない儲かる事業についての感性が働かない。
とうとう、ルルリは「資本主義」の枠組みの中に答えを見いだせず、
ギブアップを考えるようになる。
しかし、ふとしたきっかけで「資本主義以外の答え」を探すようになり、
それはもちろん共産主義でもなく、枢里DIO構想そのものだった。
まず、資本のチカラをふんだんに活用してもいいから、
自給自足を出来るだけ簡単かつ高品質に実現できる仕組みを構築する。
これをマニュアル化して、誰でも使えるようにする。
そして極めつけは、この仕組み自体を自力で用意できるようにする。
ホームセンターが無いと家も畑も作れません、
でも有事なのでホームセンターが営業できません、だと自給自足の意味が無いのだ。
もちろん、「高度な機械に頼らず、すべて人の手でやれば可能です」とは言えるが、
それだと人類が頑張って文明を発展させてきたことの意味が無い。
いかにして「簡単に道具を作るか」までを含めて、すべてを再構築するのだ。
物語中盤以降、この問題の解決に具体的に取り組む。
裁縫教室を開いて、ミシン製作から始めるエピソードとかはここでやる。
そして、クライマックスの11話で、ノベルゲーム自体の再構築を提唱する。(ふわふわ11話の通り)
枢里がDIO構想によって次のフェーズに移行する可能性を示したところで、ルルリの話は終わり。
2020年の科学力で解決できない部分は「3年で何とかする」としても良いし、
この世界の2020年はちょっと進んでて近未来的な技術を実証実験可能になっているとしても良い。
◆
ミリアは具体的に人の役に立っていない。(ふわふわ)
ずっと秘密裏に風邪の特効薬を作って、日本をパンデミックから救った実績はあるし、
天導あやめ市長と繋がったり、バナナ共和国の波乱を止めたりと頑張ってはいるのだが、
三剣グループや枢里に対しては、イメージキャラ程度の活躍しか出来ていない。
まず、ミリアはどうしたいのか?
そして、物語はミリアにどういう結末を与えたいのか?
ミリアは枢里を愛している。一生枢里に住みたいと思っている。
都会で働きたいジェシカとは真逆だ。
高度経済成長期の波に乗ったグレース(ミリアのひいばあちゃん)も都会派。
枢里を企業城下町からカンパニータウンに変更することで、
バブル崩壊と就職氷河期を乗り切ったライーザ(ミリアのばあちゃん)は枢里派。
土地を買い占めて枢里を作ったスウ(ミリアのひいひいばあちゃん)は当然に枢里派。
でも、ライーザはグレースの影響を強く受けており、
枢里に自給自足を促しつつ、三剣グループが外から文明を支える形を作るため、
枢里を出て都会で働くようになる。おそらくスウが枢里を守ってくれている。
ジェシカには会社合併の才能があったので三剣グループは急拡大する。
さすがに拓銀を買収したりはしないが、時期的にも例の悪役令嬢の活躍に近い。
ふわふわはもともと経済や国政の話をメインには取り扱わないので、
そういう面白い話は他所に任せて、「ジェシカはお買い物が上手」で済ませておく。
ゆえに、スウが作った枢里、グレース、ライーザ、ジェシカによるグループ拡大、
そして、残念ながら財閥経営のセンスが無いミリア、という流れになっているのだ。
スウは1925年生まれなので、2020年時点で95歳である。
めんどくさいので三剣家の歴史は今まで細かく詰めてなかったけど、
スウは本編開始時点で存命であってもおかしくない。
すると、スウが居たから子供たちが安心して外に出られた、という設定は辻褄が合う。
そして、ミリアが枢里を出られないことにも繋がる。
ミリアが枢里を愛する理由の裏設定は、
八剣アリアが制限として施した「枢里スケール」の影響なのだが、
そういう説明ではなく、ミリアがなぜ枢里を愛するかのエピソードを挟んだ方がマシ。
ミリアは枢里に愛されている。
ジェシカはジェシカ祭りの中で出産実況を行っている。
社員を覚えることが上手で、誰にも分け隔てなく接する。
そして聞き上手。みんな喋りたがりなので、ミリアはふんふん聞いて考える。
口数は少ないが人見知りではないし、枢里のみんなはミリア大好き。
そのせいで、ミリアは特別な友達を作ることが難しい。これは八剣も二剣も基本的には変わらない。
ルルリはミリアの好きなものをふんだんに用意して、その平等の壁を壊しにかかる。
天才としての能力を枢里のために発揮する。それで枢里社員とミリアに認められる。
だから、ミリアが枢里とルルリを愛したのは、まずは返報性の法則によるものなのかも知れない。
ミリアには枢里の良いところばかりが見えてしまう。愛が見えるので万事うまくいくように錯覚する。
両親にも溺愛されているので、どこにも敵がいない。戦うという感覚が無い。
だから、ルルリは悪役令嬢を演じる。そして枢里の悪いところを見つけて直していく。
八剣アリアは実は悪役令嬢テンプレの産物なのだが、ミリアは悪役令嬢じゃなくしている。
なので三剣世界は悪役令嬢テンプレではない。あくまで異世界転生テンプレの世界なのだ。
ミリアは枢里のカンパニータウン化を肯定しているし、自立を求めている。
外の世界に強い憧れを抱かないし、贅沢もしない。
両親は頑張って散財してるのだが、ミリアは贅沢を理解していない。
三剣宮とスタッフを気に入ってる程度だ。海外旅行はめんどくさがるし。宝石は好きそうだけど。
枢里社員が在宅で働くことは肯定しつつ、理不尽な労働に生活を人質に取られることは認めない。
同様に、世界のどこかで可哀想な労働者が作った安い商品で得をすることも好まない。フェアトレードが好き。
だから実はEUの価値観に親和性がある。あそこまで好戦的じゃないけど。
ちなみにチサトは親米かつ重商主義。イオリは中共を好まない左翼だ。タケルは少しルサンチマン気味な庶民。
ルルリは整合性のあるイデオロギーを持ってない。ご都合主義。
だからミリアの目指す枢里はスイスみたいな国なのかも知れない。
日本から独立する気は無いので武力は持たないのかも知れないけど。
土地にこだわりは無いので、全員での移住は出来る。八剣世界では実際に北海道野幌市を築き上げる。
枢里を良くすることについては、ルルリに期待している。
ルルリは枢里が自給自足出来ないと未来で滅亡してしまうからバッドエンド回避を頑張っている。
二人の利害は完全に一致している。
平和ボケした枢里社員にはルルリの不安あおりは臆病に見えるかも知れないが。
物語終盤、ルルリの話が終わったあと、スウが遺言を公表して亡くなる。
ルルリのノベルゲームの話が11月の11話だったので、これは12月の12話になる。
遺言は、ミリアに三剣クルルという別名を与え、スウを襲名させること。
三剣クルルは、枢里の全権を保有すること。枢里の里長(さとおさ)となること。
そして、三剣クルルは、願わくば最後の襲名とすること。
これを受けて、ミリアは宣言する。
三剣アリアは、三剣家最後の代となること。
子供を作る気も無いし、もし作っても三剣家の次期当主とはしないこと。
枢里を非公開株式会社化して、三剣グループの連鎖倒産を防ぐこと。
枢里のために作ったあらゆるものの権利を枢里会社が保有すること。
三剣財閥を解体して、里外事業を家族以外でも経営出来るようにすること。
ただし、ジェシカら家族の個人的な経営権は妨げない。
この計画は2100年までの長期計画であること。
ミリアの死後か、ミリアの望んだ時に、枢里を共和制に移行すること。
この宣言は三剣グループ界隈を大いに賑やかすが、新自由主義者は肯定的に受け入れる。
枢里については、「アリアお嬢様のお買い物」として聖域化される。
このお買い物たる権利主張が三剣グループの業績に悪影響を及ぼすとは思われない。
逆に、枢里会社が里外に安値放出を行うことは懸念されるため、
輸出商品には値段をつけて儲けて欲しいという旨を要請され、ミリアはひとまず受諾する。
枢里では反対意見が噴出する。「共和政不要論」が大多数を占める。
願わくば三剣家の血筋が永遠に続いて欲しいし、三剣家の独裁を支持するという。
それはまずいよ、とミリアが説得するが、嘆願の声は止まない。
「わたしは独裁者になるから、みんなで頑張って民主主義をやろうよ」と説得する。
ミリアを非難すると独裁して貰えないので、誰もミリアを非難出来ない。
そうして、80年かかるであろう枢里の民主化運動が始まることになった。
数年後、選挙制度を取り入れて大統領を決めようとして対立候補まで立てたが、
ほぼ100%の投票率に、100%の得票率という異様な結果でミリアが当選し、大統領となった。
ジェシカがミリアに「妹が欲しい」と言われた時に断ったエピソードはボツにしたかも知れないけど、
ジェシカは子供を作ることについては「本人が決めるべきだ」とかねてから強く主張しており、
一人っ子にしたのも兄弟で後継争いを避けるためだったし、
ミリアが決断として三剣家を終わらせるというなら全力で応援するという姿勢でいる。
ジェシカの買い物上手は、宣言以降、むしろリスクを負う恰好で過激化している。
今までは損害を枢里に巻き込まないように抑えていたのを止めたらしい・・・。
そして、娘らにドンドン文明の利器を買い与えてあげている。ドラえもんも真っ青である。
落ち着いたころに、ルルリが枢里DIOについて補足的に説明する。
「私は可能性の一つとして、資本主義に終焉が訪れることを懸念しています」
「悲しいことですが、お金は信用だから、信用出来なくなった時に価値を失います」
「日本円やドルだけじゃなく、クルルポイントでさえ信用で成り立っているのです」
「コンピューターが壊れた程度で残高がわからなくなるようなヤワな仕組みでは無いけどね」
「誰かがポイントを独占して食糧の値段を吊り上げたら、クルル自体を止めましょう」
「自給自足で自立するということは、クルルへの依存さえも止めるということです」
「枢里DIOは、すべての家庭が自宅で生活を完結できることを目標にします」
「生活のために仕方なく三剣家に従い、打算で当主を愛するのではなく」
「私達は自由を手に入れたうえで、無償の愛を捧げることが出来るのです」
「あと、お金のかかるテレビ設置もやめてしまいたいです」
「枢里で放送局を作って、ネットで視聴するようにしませんか」
「組織名は、三剣クルル放送協会。略称をMHKにしたいので三剣の名前を借りました」
「お嬢様が常に映るので視聴率は常に100%です」
ミリア「それはやめて」
「それと、MISRACも作ります」
「枢里で歌える曲を管理して、枢里を歌えるまちにしたいと思います」
「お嬢様が常に歌うので視聴率は常に200%です」
ミリア「分身でもするの?」
「でも冗談抜きでミリアは歌上手」
「法外な請求が無かったら、もっと早く美声を披露出来てたでしょうね」