引き続き詳しい解説。
読者が枢里に興味を持ち、どんな街が二人を幸せにしたのかを知りたくなる、という狙い。
時系列は2019年末。米国ではまだトランプが大統領である。
ミリア「枢里(くるるさと)へようこそ!」
ミリア「わたしは三剣アリアと申します!」
ルルリ「ねえ三剣アリアさん」
ミリア「はい」
ルルリ「枢里の魅力ってなあに?」
ミリア「自然が豊かで、ご飯がおいしい?」
ルルリ「テイク2おねがいしまーす」
ミリア「だめなの?!」
ルルリ「どこにでもある田舎自慢じゃん」
ミリア「じゃあルルリが答えてよ」
ミリア「ルルリさん、枢里の魅力とは?」
ルルリ「終身雇用で週30時間労働!」
ルルリ「外食と洗濯乾燥機で家事は楽々!」
ルルリ「育休3年、子供年金15年!」
ルルリ「最先端のITで便利に暮らせます!」
ミリア「最先端のITってなに?」
ルルリ「キャッシュレスとか枢里アプリとか」
ルルリ「最近だと教育動画かしらね」
ルルリ「好きな所で勉強できて学費も安いのよ」
ミリア「日本だと学校に通うんだよね」
ルルリ「みんなで長時間同じ部屋で授業するの」
ルルリ「非効率だし派閥争いやいじめもあるのよ」
ミリア「比べてみないとわからない」
ルルリ「もうそれはあれよ」
ルルリ「インターネットの無い世界は」
ルルリ「不便すぎて比べるまでもない感じと一緒」
ミリア「じゃあ終身雇用が無い世界は?」
ルルリ「お前はクビだ!」
ミリア「がーん」
ミリア「仕事を探そう」
ルルリ「どんどん給料は減って仕事はつらくなる」
ミリア「どうして?」
ルルリ「易しい仕事は機械のほうが得意だからね」
ルルリ「機械に出来ない複雑な仕事を頑張るか」
ルルリ「機械より安い値段で働くか、どっちかよ」
ミリア「わたし、お嫁さんになります」
ルルリ「日本は育休短いし子供年金も無いから」
ルルリ「自分で働いたお金で子供の世話をするの」
ルルリ「週40時間働いてご飯も自分で作るのよ」
ミリア「わたしは日本には住めないみたい」
ルルリ「枢里も日本国内なんですけどね」
ミリア「どうして枢里は日本と違うの?」
ルルリ「それは、枢里が会社だからです!」
ルルリ「株式会社三剣枢里が運営してる街なのよ」
ルルリ「家は社宅、食事は社員食堂」
ルルリ「暮らしは全部会社が面倒を見てくれるの」
ミリア「日本では誰が面倒を見るの?」
ルルリ「さあ。自己責任かしら?」
ルルリ「一応、生活保護制度はあるけどね」
ミリア「なんかつらい」
ミリア「いまも転入待ちって多いんだよね?」
ルルリ「枢里の卒業生を先に採用するから」
ルルリ「転入枠はなかなか空かないのよねー」
ミリア「だったら、魅力伝えなくてよくない?」
ルルリ「これ、枢里ミュージアムの宣伝よね?」
ミリア「CMと、会場内でも流したいって」
ルルリ「じゃあ、あれだわ」
ミリア「どれ」
ルルリ「聞いて」
ミリア「ルルリさん、枢里の魅力とは?」
ルルリ「自然が豊かで、ご飯がおいしい」
ミリア「どこにでもあるやつじゃん!」
ルルリ「展望塔登って飯食って酒飲んで寝ろ!」
ミリア「紹介が雑!」
ルルリ「観光ガイドのセリフをアレンジしましょ」
ミリア「枢里は5千平米の大規模農場と」
ミリア「8百平米のコンパクトな市街地を持つ」
ミリア「人口7万人のカンパニータウンです」
ルルリ「枢里は地方自治体ではないけど」
ルルリ「全国800の市なら400位くらいの人口なの」
ルルリ「でも、どうして農業が盛んなのかな?」
ミリア「それは、輸入に頼らない地産地消だからです!」
ミリア「生活用品の多くも里内で生産しています」
ルルリ「カロリーベースの食糧自給率は100%」
ルルリ「地元で採れた安全で美味しい食事なのよ」
ミリア「展望塔から一望できる街並みは」
ミリア「日本で唯一、無電柱化を達成」
ルルリ「家は災害に強い重量鉄骨製の工業化住宅」
ルルリ「太陽光発電で再エネ率は100%を達成」
ルルリ「他とは違う街並みをお楽しみください」
ミリア「展望塔と国道を結ぶグルメ通りでは」
ミリア「世界のいろんなお料理が楽しめます」
ルルリ「地元食材で作ったヨーロッパ風ディナーや」
ルルリ「お蕎麦と丼物の炭水化物コンボ」
ルルリ「お寿司や和牛など盛りだくさん!」
ミリア「お酒も飲めると思います!」
ルルリ「裏通りには大人の歓楽街があって」
ルルリ「辛口な地酒やどぶろくをお楽しみ戴けます」
ミリア「国道沿いのホテルまで歩いてすぐなので」
ミリア「たっぷり楽しんで、ゆっくり休めます!」
ルルリ「定番のお土産は展望塔キーホルダー」
ルルリ「ご自宅で楽しめるVRくるるさと」
ミリア「その前に、枢里ミュージアム!」
ルルリ「はっ、そうだった」
ミリア「このたび、枢里映画館内に引っ越して」
ミリア「リニューアルオープンしました!」
ルルリ「グルメ通り北口から徒歩4分!」
ルルリ「枢里のあんなことやそんなことが」
ルルリ「赤裸々に公開されています!」
ミリア「どうぞ枢里をお楽しみください!」
ルルリ「完璧じゃね?」
ミリア「いいのかなあ」