『宮殿島・セリカ大邸宅』
ティー「おはようございます」
ルルリ「生きてる?」
ティー「朝はスッキリです」
ルルリ「朝食済ませちゃったけど」
ティー「えっ」
ティー「じゃあ食後のミルクでも」
ルルリ「バナナオレを戴いたわ」
ティー「申し訳ございませんお嬢様」
ミリア「くるしゅうない」
ミリア「でも、ちこうよらないで」
ティー「がーん」
ティー「色々洗ってきます・・・」
ルルリ「お気をつけて」
ミリア「さて、今日は観光します!」
ルルリ「これっていつ配信するの?」
ミリア「一日遅れくらいらしい」
ミリア「今は1月18日の朝9時です」
ルルリ「フワシコは日本より3時間早いから」
ルルリ「今の日本は朝6時ね」
ルルリ「ライブにしてもみんな寝てるわ」
ミリア「わたしは毎朝起きてるよ」
ルルリ「何人来るかライブやってみる?」
ミリア「リアルタイム勢が焦るからダメ」
ミリア「決めた時間にしか配信しないんだって」
ルルリ「どんどんまともになっていくのね」
ミリア「不満なの?」
ルルリ「ちょっとだけ」
ルルリ「これ編集するのよね?」
ミリア「うん」
ルルリ「(ピー――)!(ピー――)!」
ミリア「どん引き」
ルルリ「ごめん・・・」
ミリア「反抗期なの?」
ルルリ「別に・・・」
ミリア「何よその態度は! ママ怒りました!」
ルルリ「えっと」
ルルリ「返し方がわからないわ」
ミリア「わたしもわからない」
「ピンポーン」
ミリア「クロエだ」
ルルリ「どうぞー」
クロエ「ヘロヘロ~」
ミリア「おはよー」
ルルリ「ガショーガショー」
ミリア「何語?!」
ルルリ「新年のご挨拶よ」
クロエ「恭賀新年!」
ミリア「うやうやしい!」
クロエ「挨拶の呼吸、壱ノ型」
ルルリ「相変わらず勉強熱心で脱帽するわ」
クロエ「ルルリネコはアニメ化しないの?」
ルルリ「まさか、あの番組まで見てるの?」
ミリア「あのっていうか今撮ってるけど」
クロエ「日本の皆さん、こんにちは」
クロエ「バナナ共和国へようこそ!」
ミリア「ねえクロエ」
ミリア「バナナ共和国って、フワシコっていうの?」
クロエ「フワシコだよ」
クロエ「でもアメリカはバナナ共和国って呼んだ」
ルルリ「日本でもバナナ共和国って呼んでるわね」
クロエ「フワシコのバナナは世界一美味しいから!」
クロエ「他のバナナ食べたことないけど!」
ミリア「いい意味なんだね」
クロエ「日本もライス帝国にすれば良かったのに」
ルルリ「なぜかアメリカの事を米国と呼んでるわね」
クロエ「黄金の国ジパングとかめっちゃいいじゃん」
クロエ「ワクワクして行ってみたくなるでしょ」
ミリア「行ってみたい」
クロエ「そういう名前にしなきゃみんな来ないよ!」
ルルリ「さすが観光立国しただけあるわね」
ミリア「今日は観光島を案内して欲しいです」
クロエ「あれ、住民島じゃなかったの?」
ルルリ「番組で紹介したいから観光島からお願い」
ルルリ「ちなみに宣伝動画は飛行機で見てきたわ」
クロエ「いいでしょ。アガる感じ?」
ルルリ「リッチ感は出てたわね」
ミリア「でも、お高いんでしょう?」
クロエ「アリアたちはタダじゃん」
ミリア「タダだから値段がわからない」
ミリア「お金払うよ」
ミリア「飛行機代も払ったし」
ルルリ「枢里の人が来れるかどうかだから」
ルルリ「エコノミークラスの往復飛行機代と」
ルルリ「ホテル6泊7日の料金が知りたいわね」
ルルリ「ホテルも安い部屋で、食事別で」
クロエ「10万円!」
ルルリ「もう一声!」
クロエ「毎日御馳走にダイビングつきで15万円!」
クロエ「観光バスと世界遺産巡りもセットです!」
ミリア「上がった」
クロエ「コミコミでポッキリの明朗会計だよ!」
クロエ「チップ無くても大丈夫!」
ルルリ「どんだけ日本人を研究しつくしてるのよ」
クロエ「世界一の親日国です!」
ルルリ「枢里住民が収入の一割を積み立てるとして」
ルルリ「2年頑張れば1回行けるかどうかね」
クロエ「2年後にお会いしましょう!」
ミリア「あ、そういえば」
ルルリ「セリカ航空の運休の件だったわね」
ミリア「来月から年内いっぱい停止するらしい」
クロエ「1年間の滞在権を販売してるんだ」
クロエ「500万円でホテルに観光に三食付き」
ルルリ「売れてるの?」
クロエ「ぜんぜん」
クロエ「今年は動画配信でもやろうかって話してる」
ミリア「わたしたちと一緒だね」
ルルリ「観光収入無くなったら大変じゃない?」
クロエ「セリカマネーに頼るしかないね」
ミリア「ママのお金?」
ルルリ「正確にはフワシコセリカの内部留保ね」
ルルリ「さっきの書類で予算通すんじゃないかしら」
ミリア「大事なお使いだった」
クロエ「セリカは凄いよね。何者なの?」
ミリア「お買い物が上手なママ」
ルルリ「そうね」
クロエ「日本一の金持ちなんでしょ?」
ルルリ「今はそうでもないみたいだわ」
ルルリ「200億円のホテルと」
ルルリ「500億円のスパコンと」
ルルリ「製薬会社の株を買って無くなったとか」
クロエ「なんでホテル買うかな」
ミリア「ライス帝国とか始めるのかも」
ルルリ「それは無いでしょう」
クロエ「じゃあまあ、うちのホテル見てってよ」
ミリア「おねがいしまーす」
『観光島・ホテル』
ミリア「動画で見たロビーだ」
ルルリ「ここは最高級?」
クロエ「うちのホテルはみんな最高級だよ!」
ルルリ「一番安い部屋を見せて欲しいわ」
クロエ「おすすめはスイートなんだけどなー」
ルルリ「それも後で見せて貰うけどね」
クロエ「比較したいってことだね?」
ルルリ「安い部屋で満足したいのよ」
クロエ「いい部屋に泊まればいいのに」
ミリア「そうだよね・・・」
『観光島・ホテル・シングル』
クロエ「ここが一番安い部屋だよ」
ルルリ「ダブルベッドなのね」
クロエ「それ以外何も無いし景色も良くない」
ルルリ「椅子とテーブルがあるじゃない」
クロエ「それぐらいはあるよ!」
ルルリ「お風呂は使えるの?」
クロエ「大浴場とプールは共用」
クロエ「カフェとかバーでくつろいで」
クロエ「部屋では寝るだけだね」
ルルリ「十分だわ。ベッド広いし」
クロエ「もっといい部屋にしなよー」
ミリア「わたし贅沢する」
クロエ「お! アリアはわかってるねえ」
クロエ「それじゃあスイートにごあんなーい!」
『観光島・ホテル・スイート』
クロエ「ここがバナナ共和国が誇る最高の部屋」
クロエ「五つ星ホテルのスイートルームだよ!」
ミリア「うちみたい」
ルルリ「思った」
クロエ「そりゃ、セリカの家は一番いいもん」
ルルリ「民泊始めたら儲かるかしらね」
クロエ「やめてよお客取らないでよ」
クロエ「配信用にちゃんと反応して」
ミリア「わあーすごおーい」
ルルリ「とってもごうかだわー」
クロエ「ヘタクソかよ!」
ルルリ「まあ間違いなく豪華だと思うわよ」
ルルリ「私達の感覚が麻痺してるだけで」
ミリア「なんかごめんなさい」
クロエ「セリカもそんな感じなんだよなー」
クロエ「最高級のおもてなしでも反応が薄い」
クロエ「でも車中泊して大喜びするんだって」
ルルリ「車中泊?」
クロエ「まさか、ルルリもクルマで寝る気?」
ルルリ「実に興味深いわ」
クロエ「スイートにタダで泊まれるのに?」
ルルリ「セリカママが大喜びしたんでしょ?」
ミリア「そう言われると確かに気になる」
クロエ「変人だなあ」
ルルリ「車中泊の車、見せて貰える?」
クロエ「工場に在庫確認してみる」
ルルリ「そのへんにあるやつでいいわよ」
クロエ「従業員用とかだよ?」
ルルリ「それがいいわ」
クロエ「フロントに聞いてみる・・・」
『観光島』
クロエ「借りたよ。私物だから注意してね」
ルルリ「撮影も大丈夫?」
クロエ「いいけど、こんなの見てどうするの」
ルルリ「外見はミニキャブ・ミーブっぽいわね」
ルルリ「3ドアで2人乗りだけど」
クロエ「ベルトすれば4人乗りできるよ」
ルルリ「後部座席が置けるのね」
クロエ「置くことは無いと思う」
ミリア「後ろはベッドなんだね」
ミリア「ベッドにシートベルトがある」
ルルリ「飛行機と同じ仕組みなのね」
ルルリ「ちょっと寝ていい?」
クロエ「どうぞ」
ルルリ「低反発かしらね。寝心地はいい」
ミリア「エアコン? つけていい?」
クロエ「いいよ」
ミリア「涼しい!」
ルルリ「これは快適だわ」
ルルリ「バッテリー容量はどれくらい?」
クロエ「わかんないなあ」
ルルリ「昔から変わって無ければ5kWhね」
ルルリ「50kmくらい走れる感じ」
クロエ「そんなもんだと思うよ」
ルルリ「一台いくらなの?」
クロエ「配給だから値段は無いよ」
ルルリ「製造原価は?」
クロエ「だーっ! 知らない!」
クロエ「なんで車が一番食いつきいいんだよ!」
ルルリ「欲しいわ、この車」
『後半へ続きます』