ミリア「今回は枢里のIT産業のお話です」
ルルリ「楽しい田舎自慢でーす」
ミリア「枢里はITのまちなんだよね?」
ルルリ「そう自称する地域は沢山あるけど」
ルルリ「日本はITが未熟なままなのよね」
ミリア「うちもひよっこ?」
ルルリ「成果としてはまだまだだけど」
ルルリ「蓄積はしてきたほうだと思うわ」
ミリア「たっぷり自慢してください!」
ルルリ「枢里の転換点は1994年」
ルルリ「バブル崩壊後の新しい働き口として」
ルルリ「PCでの情報処理に舵をとったの」
ミリア「ママがパソコン上手だったから?」
ミリア「6歳でキーボードが早かったらしい」
ルルリ「きっと褒められて嬉しかったのね」
ミリア「わたし100mなら自信ある」
ルルリ「何秒なの?」
ミリア「14秒台」
ルルリ「え、早すぎない? 金メダル狙える?」
ルルリ「私たぶん倍くらいかかるわ」
ミリア「それは褒めすぎだし倍は遅すぎ」
ルルリ「出来る人と凡人の差は開くものなのよ」
ルルリ「PCは向き不向きがハッキリ出たわ」
ルルリ「プログラミングが上達していく人」
ルルリ「ワープロと表計算くらいは使える人」
ルルリ「そして、苦手意識で触らなくなる人ね」
ミリア「誰でも簡単に使えたらいいのに」
ルルリ「多機能って時点で簡単じゃないのよ」
ルルリ「スマホもホーム画面だけで複雑でしょ」
ミリア「それは覚えるしかない」
ルルリ「覚えてもすぐ変わっちゃうからね」
ルルリ「変化が苦手な人にとっては」
ルルリ「同じ作業を毎日繰り返せた方がいいの」
ミリア「飽きたりしないのかな」
ルルリ「飽きても必要な仕事はあるわ」
ルルリ「食堂とか、当時なら工場もそうね」
ミリア「今の工場は?」
ルルリ「機械化が進んだから人間は大変よ」
ルルリ「出来た物をチェックするような仕事ね」
ルルリ「その機械を作るのもIT産業の内なの」
ミリア「自動調理器とかも作るのかな」
ルルリ「冷凍食品のレンチンで済むと思うけど」
ルルリ「生のできたてなら人間の方が優秀だわ」
ルルリ「ご飯と汁物はまとめて作れるからね」
ミリア「美味しいなら手作りのほうがいい」
ルルリ「なんでもIT化するわけじゃないのよ」
ルルリ「お店だって無人にはなってないわよね」
ミリア「人がいないと不安になる」
ルルリ「でも注文をタッチパネルで操作したり」
ルルリ「セルフレジに変わったりはするのよ」
ミリア「食堂もスマホで予約だもんね」
ルルリ「そうやってソフトに慣れていったの」
ルルリ「販売管理とか経理とか顧客管理とかね」
ミリア「便利になっていったのか」
ルルリ「紙をPCに置き換えれば効果あったし」
ルルリ「PCの性能もどんどん上がっていった」
ルルリ「極めつけはインターネットの普及ね」
ルルリ「ホームページ制作もいい仕事だったわ」
ミリア「いつごろ広まったの?」
ルルリ「Windows95と同じくらいかしら」
ルルリ「1995年の流行語大賞に」
ルルリ「インターネットがトップテン入りしてる」
ルルリ「2000年はIT革命が大賞になったわ」
ミリア「ITバブルは?」
ルルリ「バブルは終わってから気づくものなの」
ルルリ「終わる直前に気づけたら大金持ちよ」
ミリア「ママじゃん」
ルルリ「バブルが終わってもITは成長し続けた」
ルルリ「2004年には光ファイバーを導入して」
ルルリ「枢里はこの時に無電柱化したのよ」
ルルリ「CeliCaが始まったのもこの頃ね」
ミリア「ママじゃん」
ルルリ「セリカママは枢里からお金を消したのよ」
ミリア「カードで買うもんね」
ルルリ「そう。キャッシュレス決済」
ルルリ「ここでもITが大活躍しているわ」
ミリア「頑張れば凄いものも作れる?」
ルルリ「プログラミングした内容は減らないから」
ルルリ「やればやるほど積み重なっていくのよ」
ルルリ「一通り作ったら仕事が無くなるほどだわ」
ミリア「それは困る?」
ルルリ「普通は困るんだけど、枢里は困らないの」
ルルリ「《セリカ宣言》で終身雇用だからね」
ルルリ「作れば作るほど暮らしが楽になっていく」
ミリア「仕事が無いと退屈じゃない?」
ルルリ「機器が進化するとIT化が捗るから」
ルルリ「プログラマーの仕事は案外多いのよ」
ルルリ「やることが高度化して常に人手不足だわ」
ミリア「でも、仕事時間は減ったんだよね?」
ルルリ「今は週30時間になったわね」
ルルリ「ワープロとか表計算の仕事は減ったし」
ルルリ「翻訳とか電話応対も機械化されたから」
ルルリ「沢山人を使う仕事は変わっちゃったわ」
ミリア「在宅勤務やめちゃったんだよね?」
ルルリ「テレワークで自動化を追求した結果」
ルルリ「テレワーク以外の仕事が残ったのよ」
ミリア「今はどんな仕事があるの?」
ルルリ「コンテンツ制作と動画配信ね」
ミリア「作るのって難しいのかな」
ルルリ「今二人で作ってるじゃん!」
ミリア「どれ?」
ルルリ「ねえミリア、あれは何かしら」
ミリア「ビデオカメラです・・・」
ミリア「だって喋ってるだけじゃん!」
ルルリ「だんだん慣れてきてるでしょ」
ミリア「ううん、むずかしい!」
ミリア「どんどんボケキャラになっていくし」
ルルリ「お嬢様ボケというコンテンツなのよ」
ミリア「そんなのお金払って見る?」
ルルリ「枢里ビジョン、里外は月額千円です」
ミリア「あんまり売れてないらしいよ!」
ルルリ「まあ世の主流は広告収入モデルだからね」
ルルリ「うちらは好きに配信してるだけだけど」
ミリア「セリカママの提供でお送りしています」
ルルリ「むしろセリカママに娘を提供してる」
ミリア「お金儲けのITはどんな仕事なの?」
ルルリ「受託開発ね。頼まれたシステムを作るの」
ルルリ「似たようなものを別々に頼まれるから」
ルルリ「共通部分は一回作って終わり」
ミリア「ワープロぐらいの仕事は無いの?」
ルルリ「ブログのカスタマイズとかかしら」
ルルリ「要求レベルが両極端になるのよねー」
ミリア「これから増える仕事は無いのかな」
ルルリ「IoT黎明期はマイコンいじったけど」
ルルリ「それもすぐ高度化して終わったし」
ルルリ「ああ、一ついい仕事があるわよ」
ルルリ「一応AIだから最先端っぽいやつ」
ミリア「すごく難しそうになった気がする」
ルルリ「それがとっても簡単なのよ」
ルルリ「やることは辞書を編纂するだけ」
ミリア「枢里百科か」
ルルリ「当たり。国語辞典とセリフ集もあるわ」
ミリア「何のセリフ?」
ルルリ「人工知能」
ルルリ「私のラクリモサはよく躾けてあるわ」
ルルリ「日本のコンビニくらい気が利くのよ」
ミリア「ラファドラソド↑ ド ソラソドファ」
ルルリ「いらっしゃいませー」
ルルリ「ただいま唐揚げが出来上がりました」
ミリア「じゃあそれとお弁当とお茶ください」
ルルリ「お弁当暖めますか?」
ミリア「お願いします」
ルルリ「お箸は」
ミリア「一膳」
ルルリ「袋は有料になりますが」
ミリア「気が利かない!」
ルルリ「5円頂戴します」
ミリア「カードで」
ルルリ「差し込んでください」
ミリア「ぷすっ」
ルルリ「取り出してください」
ルルリ「ありがとうございました」
ミリア「つまりどういうこと?!」
ルルリ「決まった応答だけなら丁寧に出来ます」
ミリア「新しいことは出来ないの?」
ルルリ「その都度どうするか決めるのよ」
ルルリ「私がコンビニに行く、と言ったら」
ルルリ「袋は持ちましたか? と聞く、とかね」
ミリア「成長している」
ルルリ「それを延々と繰り返すと便利になるの」
ルルリ「すごく膨大な人工無能ってとこね」
ミリア「作るの大変そう」
ルルリ「この研究、25年もやってるのよ」
ミリア「ルルリは何歳なの?!」
ルルリ「私じゃなくて枢里百科が!」
ミリア「辞書がまるごと人工知能ってこと?」
ルルリ「全記事が対応してる訳じゃないけど」
ルルリ「機械的に読みやすく加工して」
ルルリ「会話に出せるようにしてあるのよ」
ミリア「すごい! わたしもお話できる?」
ルルリ「みんなもできまーす!」
ミリア「おおー」
ルルリ「枢里アプリを開いて」
ルルリ「ヘルプとサポート」
ルルリ「ラッカとおしゃべり」
ミリア「やったことある」
ルルリ「みんな少しやって飽きるのよね」
ルルリ「使い道が思い浮かばないから」
ミリア「わたしお友達になったよ」
ルルリ「でもあんまり使ってないんでしょ?」
ミリア「ぜんぜん」
ルルリ「そこなのよねー問題は」
ルルリ「ラクリモサはSRのUIだから」
ルルリ「部屋に入ると必ず喋るけど」
ルルリ「枢里アプリはそこまで攻めてない」
ミリア「喋るスマホにできないの?」
ルルリ「できるけど鬱陶しいのよ」
ルルリ「スマホは鳴らない方が幸せよね」
ミリア「そうかも」
ルルリ「どう人工知能が存在するべきか」
ルルリ「というのが次の課題というわけ」
ミリア「普通に居てくれればいいのにね」
ルルリ「ふふふ」
ルルリ「まあ、そういう仕事もあるわ」
ルルリ「研究だから残業代は出ないけど」
ミリア「時間のかかる仕事だった」