ハヅキのおばあちゃんち。
旧ふわふわでは「イオリ」「葉月婆」で呼び分けてたけど、
新ふわふわではイオリを「ハヅキ」と呼ぶので、ばーちゃんは別の呼び方にしたい。
葉月婆の家は、以前は貸出を行っていた。
家賃はほぼ無料。ただし、貸出には条件がある。
葉月婆の狙いは、遊休資源を差し出すことで、
「孤独死の予防」
「畑の活用(採れたての野菜が食べたい)」
「ちょっとした人助け」
のようなもので、完全な善意でもなく、完全な我欲でもなかった。
可愛い若者がやってきて、野菜を作ってちょっと食べさせてくれて、
ありがとうと言ってくれれば、別にそれで良かったのだ。
でもそれは、南部の民度に対しては高望みだった。
住民同士は喧嘩をして、気に入らない相手を追い出そうとしたり、
畑は三分割されて、使う場所と使わない場所が出来てしまった。
居心地が悪くなり、住民は定着せず、
全員退出したタイミングで、葉月婆は取り組み自体をやめてしまった。
南部では耕作放棄地の再活用プロジェクトもやっていて、
指定された土地は誰でも耕すことが出来る。
しかし、盗難があっても被害を申告出来ない。
正式な貸与を受けて独占することも試みられたが、
独占したまま放置したり、独占権を使って商売を始めたりする。
デポジットを取って放置した場合は没収するようにしたり、
売上に対する土地代を要求すると、不当な搾取だと怒り始める。
かといって土地を買い取って欲しいというと、そんな金は無いと言う。
契約書では土地の独占貸与は1年更新になっていて、
双方の合意が無いと更新することは出来ないとされている。
結局、地主に納得のいく提案を出せずに、土地は放棄されていく。
家や食べ物が高いから生活に困っている人が多いというのが事実だとしても、
無料の家や畑を与えれば使いこなせるというわけではないのだ。