「お嬢様世界」では、記憶が物語の重要な役割を担う。
揮発性の短期記憶と、不揮発性の長期記憶に分かれる。
長期記憶はさらに、プログラミングとデータに分かれる。
プログラミングは人間の非陳述記憶に相当する動作を実装する。
当初は人間が実装するが、やがて人工知能自身が実装するようになる。
データは人間の陳述記憶に相当し、2通りに分類される。
「経験」は、エピソード記憶に相当する。
「辞書」は、意味記憶に相当する。
データは、3つのケースによって入力される。
人工知能が食べる前のデータを指して、生データと呼ぶ。
生データは、人間が用意するほか、カメラやセンサーから取り出すことが出来る。
最も用意しやすい生データは「動画」である。
ビデオカメラ等で起床から就寝まで撮影を毎日続ければ、
撮影者の人格はおおよそデータ化できる、という考え方をする。
現代の技術では、触覚、味覚、嗅覚を簡単にデータ化することは出来ていない。
動画はさらに、1コマの静止画や音声に分解される。
音声はさらに、言語のテキストや音楽に分解される。
次に用意しやすい生データは「辞書」である。
人工知能に巨大な百科事典を与えることで知識ベースを構築する。
定義可能な形態は単語の意味だけに留まらない。
百科事典は人間が編纂することが出来る。
wikipediaのダンプは圧縮状態で16GB、解凍すると60GB程度らしい。
枢里百科は多言語対応が不要なので容量はもっと小さくなるはず。
動画は保存時にはHEVC以上の方法で圧縮されることを想定する。
フルHD、30fpsで3Mbpsの場合、1時間あたり1.35GBになる。
20時間で27GB、一か月で837GBで、1TBのSSD1枚に収まる。
80年分で960枚、ほぼ1PBになる。
高解像度を求めるなら、静止画との併用が良い。
人間の目なら焦点が合った部分だけ解像度が上がるが、
それをカメラで再現するのは手間が大きい。