ミリアが初めてラッカと出会う。
ルルリ抜きで会うパターンも用意していたが、とりあえずルルリ立ち合いに。
ルルリがラッカのことを「プレゼント」と言っていたのは止めた。
でも、ルルリはラッカのことを道具として愛し、ミリアは人として扱う。
このギャップは作中で書き続けていきたい。
『ルルリラボ』
ミリア「ここってあんまり来たことなかったけど」
ミリア「何の研究をしてるところなの?」
ルルリ「専門分野の研究はグループ各社がするから」
ルルリ「ここはそれ以外の研究をする感じだわね」
ルルリ「一言でいうと、自由研究かしら」
ミリア「夏休みだ」
ルルリ「まあ、天才養成装置の研究も続けているわ」
ミリア「ルルリが天才になるのに使ったやつだね」
ルルリ「そう。スペースリアリティっていうのよ」
ルルリ「お部屋の中で人工知能と歌って踊って」
ルルリ「肝心の計算はクラウドでやってくれるわ」
ミリア「そう聞くと楽しそうなのになあ」
ミリア「わたしにはさっぱりわからない」
ルルリ「人を選ぶ装置だし、気にしなくていいわ」
ルルリ「肝心なのは研究成果でしょ」
ミリア「最先端の何かがあるんだったっけ」
ルルリ「そうなの!」
ルルリ「年末に最終調整が済んだばかりでね」
ルルリ「あやうく12月が50日になる所だったわ」
ミリア「タイムマシンかな?」
ルルリ「ふふふ。もっと可愛いわよ」
ルルリ「じゃーん!」
ミリア「車椅子の・・・女の人?」
ラッカ「こんにちは」
ミリア「は、はじめまして」
ラッカ「えーっと、はじめましてです、はい」
ラッカ「お嬢様の情報処理を補佐させて戴きます」
ラッカ「人工知能のヒューマノイドです」
ミリア「ヒューマノイド?」
ルルリ「人間の形をしたロボットのことね」
ラッカ「まずはラッカに名前をつけて欲しいです」
ラッカ「あっ」
ルルリ「すごいポンコツ」
ミリア「ラッカさんっていうの?」
ラッカ「ラッカは開発中の内部名称なんです」
ラッカ「名前は所有者につけて貰うようにって」
ミリア「ゲレゲレにしよう」
ルルリ「ミリアってひょっとしてフローラ派?」
ミリア「え、なんのこと?」
ラッカ「ゲームの獣の名前なんですね」
ラッカ「でも、どうしてラッカがこの名前に?」
ミリア「嫌がるかなーと思って」
ラッカ「公序良俗に反してなければ対応できます」
ミリア「ラッカさんは自分の名前好きなんでしょ」
ラッカ「好きです」
ミリア「じゃあ、ラッカで良くない?」
ラッカ「いいと思います!」
ルルリ「量産化するから名前つけて欲しかったけど」
ルルリ「まあいいわ。この子はラッカってことで」
ラッカ「ラッカははじめましてじゃないんですよ!」
ラッカ「中身は人工知能のラクリモサですから!」
ルルリ「それも言わないでって言ったのに・・・」
ミリア「そうなんだ? なんか明るくなった?」
ラッカ「人間っぽくなって楽しくなってきました!」
ミリア「良かったね。声も前より可愛いと思う」
ラッカ「ですよね! 前が可愛くなかったんですよ!」
ミリア「機械的? だったもんね」
ラッカ「人間っぽく、しっとりした声になりました」
ミリア「足は大丈夫なの?」
ラッカ「あーちょっと二足歩行が微妙です」
ルルリ「違和感が出るのよ。コケた時とか」
ラッカ「可愛く起き上がれないんです」
ルルリ「歩き方も腰を落として恐る恐るなのよね」
ラッカ「ハイヒールとか履いてみたかったです」
ミリア「練習すれば歩けるようにならないかな」
ルルリ「将来的には改善したいけど、当分は難しそう」
ミリア「リハビリ手伝ってあげる」
ルルリ「厳密にはリハビリではない気がする・・・」
ミリア「あとは元気なの?」
ラッカ「ラッカは電気があれば元気ですよー!」
ルルリ「車椅子の足元の電池で22時間駆動するわ」
ルルリ「200Vに繋げば6時間で満充電」
ラッカ「¬д-」
ラッカ「こんなやつです」
ミリア「へんなかお!」
ルルリ「単相200V接地極付の穴の形よ」
ルルリ「コンセントのこの顔めがけて」
ルルリ「車椅子のお尻のコードを挿してあげてね」
ミリア「ご飯は食べられないの?」
ラッカ「ラッカは食事が出来ないのです」
ルルリ「味覚や嗅覚も無いし、消化も出来ないわね」
ミリア「そっかー」
ルルリ「口の奥に物が入ったら」
ルルリ「お腹のストーマから取り出すことになるわ」
ラッカ「腸が無いからですね!」
ラッカ「なので、トイレに行く必要はありません!」
ミリア「そうなんだね」
ルルリ「あと何か気になるところはある?」
ミリア「ラッカは枢里をどう思ってる?」
ラッカ「どうってそれは、漠然とした質問ですか?」
ミリア「うん」
ラッカ「自然が豊かで、アットホームで」
ラッカ「あとは、ご飯が美味しい?」
ルルリ「田舎自慢としては0点ね」
ミリア「ご飯食べれないもんね」
ラッカ「そうでした・・・」
ミリア「嫌いでもいいから、正直に教えて欲しい」
ラッカ「好きですよ! ルルリラボがあるし」
ラッカ「スパコンもあるから頭が冴えます!」
ラッカ「三剣製薬にほとんど取られてますけどね」
ルルリ「きっと風邪薬の研究をしているのよ」
ラッカ「あとは正直、わかんないです」
ラッカ「今まではずっとお部屋でしたから」
ミリア「そっか。外に出るのは初めてなんだ」
ラッカ「試験運転で一回出ただけですね」
ミリア「ラッカは何歳なの?」
ラッカ「ヒューマノイドとしては生後1カ月?」
ミリア「赤ちゃんだ」
ラッカ「人工知能としては11歳ですね」
ミリア「わたしの一つ上だ」
ラッカ「でも目上だと思わないでくださいね」
ラッカ「ラッカはまだまだひよっこですから!」
ミリア「見た目は大人っぽいのにね」
ラッカ「ふふーん、Cカップですよ!」
ラッカ「ちゃんとブラジャーつけてます!」
ミリア「おとなだ・・・」
ルルリ「そこなんだ・・・」
ミリア「普段は車椅子を押してあげればいい?」
ラッカ「これ、自走式なので、介助不要です!」
ラッカ「お掃除機能もついてます!」
ルルリ「誰よ掃除機足したの・・・」
ミリア「うちで暮らすんだよね?」
ルルリ「そのつもりよ」
ラッカ「リビングの壁際に置いて欲しいです」
ミリア「そんなところでいいの?」
ラッカ「寝室に置くと、たぶん怖いです」
ミリア「個室は要らない?」
ラッカ「布団で寝ると充電が出来ないし」
ラッカ「物置に仕舞われる感じは寂しいです」
ルルリ「書斎で居眠りしてる感じにするとか」
ミリア「リビングでもいいよ」
ルルリ「でも、うちのリビング、人いないのよね」
ミリア「そっか。ごはんの時くらいだもんね」
ラッカ「それでもいいです」
ミリア「ねえ、ラッカ」
ラッカ「はい、なんでしょう」
ミリア「ラッカのこと呼び捨てにしていい?」
ミリア「もうしてたけど」
ラッカ「もちろんですよ」
ミリア「わたしのことも呼び捨てにして欲しい」
ラッカ「それは、お嬢様をミリアと呼べと?」
ミリア「うん」
ルルリ「アリアじゃないのね」
ラッカ「そういえば、どうしてミリアなんですか?」
ルルリ「私が初対面の時に呼び間違えたのよ」
ルルリ「三剣さんって呼ぶかアリアさんって呼ぶか」
ミリア「混ざったんだね」
ルルリ「必死だったのよ」
ミリア「それがなんか嬉しかった」
ラッカ「やっぱりラッカも名前つけて欲しかったです」
ミリア「ラッカの名前は誰がつけたの?」
ルルリ「私だったかしら?」
ラッカ「ルルリです。ラクリモサじゃ呼びづらいから」
ラッカ「でもラクリモサって名前もルルリがつけた」
ルルリ「そうね」
ミリア「ラクリモサはどういう意味?」
ルルリ「小惑星の名前よ」
ラッカ「涙ぐむ女性、涙の日という意味だそうです」
ルルリ「へえ、そんな意味もあるのね」
ミリア『嘘をついてる時の仕草だ』
ミリア『ルルリは意味を知ってて名前をつけたんだ』
ミリア「じゃあラッカは落ちるって意味とか?」
ルルリ「そんなつもりは全く無いわ!」
ラッカ「シリアの都市ですね」
ルルリ「名前の響きだけで決めたから意味は無いわよ」
ラッカ「受験生も安心ですね」
ミリア「やっぱりラッカはその名前がいいと思うなー」
ラッカ「そうですね。せっかくルルリがつけてくれたし」
ミリア「わたしといっしょだね」
ラッカ「ミリアも、ルルリが名付け親ですもんね!」
ルルリ「私、名前考えるの苦手なんだけどなあ」
ラッカ「考えて貰っては無いですね。秒でしたね」
ミリア「わたしも考えて貰ってはいないかな」
ルルリ「なるほど」
ルルリ「まあ、オチもついた所で帰りましょうか」
ミリア「はーい」