『フワシコ・車中』
ルルリ「逆に何か欠点とか問題は無いの?」
クロエ「あるよ。でっかいのが」
ルルリ「軽口を叩いてしまったわ」
ルルリ「聞いてしまっていいのかしら」
クロエ「いいよ。自慢したいところだったし」
ミリア「欠点なのに自慢?」
クロエ「まず、問題は、外交にある」
クロエ「近くの国が金をよこせって」
ルルリ「バナナ共和国に資本を求めるか」
クロエ「まあ、黒字だから仕方ないんだけど」
クロエ「お金をあげても、もっとよこせって」
ルルリ「乞食はどこもそんなもんよね」
クロエ「それで、わが国も抑止力を持ちました」
ルルリ「まさか、核?」
クロエ「ただのICBMだよ」
ルルリ「なんでやねん」
ルルリ「IRBMじゃなくて?」
クロエ「ICBMだと思うけど・・・」
ミリア「どう違うの?」
ルルリ「まず、距離が違うわ」
ルルリ「ICBMだと日本に届くわね」
ルルリ「IRBMだと届かない」
ルルリ「そして、ICBMは普通、核を積む」
ルルリ「遠くに撃つときの誤差を補うためね」
クロエ「じゃあ、IRBMだったのかな」
ルルリ「揉めてる国はどこなの?」
クロエ「近くの島国だと思うけど・・・」
ルルリ「それ、かなりヤバい話みたいね」
ルルリ「ICBMの自慢なんてしたら」
ルルリ「それこそ大国に狙われるわよ」
ルルリ「中国や西海岸も射程圏内かもだし」
クロエ「うげー」
ルルリ「誰かに言った?」
クロエ「秘密にしてるつもりだけど・・・」
クロエ「他に自慢できる人いないし」
ルルリ「私達も聞かなかったことにしましょう」
ミリア「うん」
ルルリ「でも気になるわね」
ルルリ「一応見せて貰ったほうがいいかしらね」
クロエ「内緒にしてね、って、するよね」
クロエ「トップシークレットだって言ってた」
ルルリ「知ってることすらばらしたくないわね」
ミリア「わたし目閉じてようかな・・・」
クロエ「こいつを見てくれ」
クロエ「どう思う?」
ルルリ「すごく・・・大きいです・・・」
ミリア「何メートルくらい?」
クロエ「わかんない」
ミリア「これは大きいの?」
ルルリ「比較対象が無いから推定は難しいわね」
ミリア「すごく大きいかわかんないじゃん」
ルルリ「日本ではそう返す決まりになってるのよ」
ミリア「わたしの知ってる日本と違う」
ルルリ「さすがに実物の見学は無理かしらね」
クロエ「場所が見つかると良くないんだって」
ルルリ「本気っぽいわね」
ルルリ「私は平和主義者だから賛成できないわ」
クロエ「日本はよくそれでやっていけるね」
ルルリ「弱く見せて相手を油断させる作戦なのよ」
ルルリ「最近は効かなくなりつつあるけど」
ミリア「そうだったのか」
クロエ「攻め込まれたらどうするの?」
ルルリ「迎撃ミサイルは配備してあるのよ」
ルルリ「ICBMを落とせるのは世界でそれだけ」
クロエ「つよい」
ルルリ「私を怒らせると怖いよ、って脅し方よね」
クロエ「なるほど」
クロエ「うちも迎撃ミサイル欲しいな」
ルルリ「フワシコの国家予算100年分くらいよ」
クロエ「高すぎる」
ルルリ「毎年お金を配った方が安いのよねー」
ルルリ「不本意なのはわかるけど」
クロエ「セリカもおんなじこと言ってた」
ミリア「ママ・・・」
クロエ「どうしたらセリカみたいになれるの?」
ミリア「ほんとそれ」
ルルリ「別にセリカを目指さなくていいでしょ」
ルルリ「自分のやりたいことをやればいいのよ」
クロエ「セリカもおんなじこと言ってた」
ミリア「ほんとそれ」
ミリア「お金の扱いは向いてないって言われた」
クロエ「アリアはほんと贅沢しないよね」
ミリア「そんなことないよ!」
ミリア「飛行機で5千円もするお茶頼んだし」
ルルリ「50万円じゃなかったのか・・・」
ミリア「最高級のはそれぐらいするけど」
ミリア「そんなの出したら赤字だよね・・・」
ルルリ「そりゃそうね、セリカが怒るわ」
ルルリ「セリカになれたら何がしたいの?」
クロエ「スシが食べたい!」
ミリア「お寿司!」
ルルリ「それはすぐ出来るんじゃない?」
クロエ「お寿司屋さん無いし」
ミリア「へいらっしゃい!」
クロエ「アリア、出来るの?」
ミリア「手巻き寿司ならミアミア・・・」
クロエ「すごい! ワザマエ!」
ミリア「イタマエ?」
ルルリ「魚捌くとこが大変なのよね」
ルルリ「見て。これが三枚おろし」
ルルリ「どう? 出来そう?」
ミリア「すごく・・・大きいです・・・」
ルルリ「その件については私が悪かったわ」
ミリア「まちがってたらしい」
クロエ「細かい作業だなあ」
ルルリ「日本から板前を呼んで教えて貰うとか」
ルルリ「まあ、何年か先になるけど・・・」
ミリア「枢里もお寿司珍しいよね」
クロエ「そうなんだ」
ルルリ「職人が必要なものはなかなかねえ」
ルルリ「枢里でも流行ればいいのにね」