ふわふわ2022 あとがき 2022-12-30 Stable Diffusionブームからはや4か月。 AIイラストの進化はなんだかんだで止まらず、 年末まで試行錯誤が続くのであった。 法律をめぐる誤解は落ち着いてなくて、最悪の場合だと、 「米国でAIイラストを利用した作品の著作権申請が差し戻された事例があるから、AIイラストを利用した作品に著作権は無いので無断転載して良い」 という解釈をする人がいるらしい。ぜひ止めていただきたい。 自衛策としては「AIイラストを使用していることを明言しない」「作品にサインなどの加筆を行う」ことが有効そうである。ふわふわ2022がAIイラストを使用しているかどうかは黙秘する。状況等による決めつけはご遠慮戴く。謝辞を述べられないことは残念だが、クレジット表記が必要な素材は使用していないので、クレジット表記ごと割愛する。聞かれても答えない。作品自体の著作権表記はページのフッターに記載している。 というわけで、以下は個人的な研究に関するつぶやきである。 ふわふわ2022は、絵の表示を行う小説の試作として執筆された。 小説と挿絵の関係だと、小説がメインで挿絵はおまけだ。想像の助けにする程度のものだが、目を引くので作品の評価に大きく関わると考えられている。 絵がメインだと、セリフつきのCG集のような体裁になる。文字がおまけだ。感情移入を促すのに用いられることが多い。 執筆する前はその認識がふわふわしていたので、綺麗な絵が沢山あれば小説の価値があがるだろうとしか考えていなかった。しかし、いざやってみると、絵と文章が食い合いになる。両方が活きる状態にするのは倍以上に大変だった。 AIイラストには得手不得手がある。少し言いかえると、出しやすい絵と出しにくい絵があって、費やす時間的コストが変わる。出しにくい絵のために時間をかけるより、物語を絵にあわせて変えてしまったほうが楽なことも多い。しかし楽をしすぎると似たような絵ばかりになってしまって面白みが無くなる。逆に、面白い絵が出ても物語がついてこれなければ使えない。よって、絵と文章の作成は同時に行いたい。 指の本数とか小物とかが弱いことは最初からわかっていたので設定で逃げようとしたが、問題はむしろ構図の幅を持たせることにあった。「ベッドメイクをしているメイドさんが振り向く」というだけでも手間がかかる。「お嬢様が食用のカニを見て喜んでいる」とか、「赤い車から金髪の美女が下りてくる」とかも。 レイヤーや差分という概念が無くなることはメリットだ。でも、表情が変わるごとに違う絵を見せられると、それはそれでテンポが悪くなる。絵1枚あたりの文章量や切り替えタイミングなどの感覚は今までに無い概念だったので慣れが必要になる。 現時点で破綻無く出力が得られる解像度は、縦横いずれかが512であること。横長にするか縦長にするかの選択の余地はあるが、キャラクター主体にするため縦長とした。PCでは解像度が得られないがスマホを基準として1:2で画面を作った。つまり512x1024が原寸で、スマホ用に縦横2倍にupscaleする。画像としては1024x2048になる。 狙った通り、キャラクターの全身もしくは太腿までが表示できた。背景がほぼ隠れてしまうが、アニメ絵ブーム以降は風景画が下火になっていた事もあり許容した。もっと言うと、女の子を出さない絵を安定させるのは少し骨が折れた。 実際にこの画面をスマホでタップして進める場合、セリフが右手の親指で隠れてしまうため、下の表示部には余裕を持たせないといけない。この点は横長のほうが有利そうだ。 背景の透過もAIで出来るので、背景、人物左、人物右を別々のレイヤーにすれば、従来のゲーム画面のような画像の取り回しが出来るかも知れない。メリットは二人同時に表示できることで、これは今のAIイラストが特に不得手としていることだ。 SD2系がもっと早い段階で普及していれば、解像度768での出力が出来ていたかも知れない。その場合の狙いは1536x768を原寸とした横長画面だ。PCにも適している。もちろん破綻しないのなら1920x960でも良い。奇跡の1枚を狙うようなガチャを避ければ、画像の生成時間はあまり問題にならない。 モデルの切り替えをはじめとする柔軟性は持たせておきたい。人物の同一性は恐らく大きな問題にならない。髪の色と髪型が固定なら登場人物の見分けはつく。表情や服装は本来変わって当然のものだし、書き分けのために画風を変える必要は無いと思う。ただ、可能なら目は人物ごとに変えたい。鼻と口は無くなるのでどうでもいい。 B版以降は、あえて「変な絵」だろうとそのまま公開してある。 時間をかけて修正して物語とも整合性を取り直せば作品はもっと良くなるはずだが、年内に完成させると決めたのと、制作が楽じゃないことの参考になればいいと思った。 ふわふわ2022の物語は、視界を描画する「世界生成装置」を利用するところから始まる。この装置は、完成したが内容的に稚拙だった「ふわふわ2020」の世界と、書き直したが未完に終わった「ふわふわ2021」の世界と、書き直したが未完に終わった「ふわふわ2021」の世界を描画し、主人公たちを「偽物」と疑う住人の話を聞き、この世界の構築に命を懸けた先駆者の存在を知ることになる。 本当は過去作品のシーン再現を色々と行っていきたかったのだが、執筆にほとんど時間を取れず、ひたすらAIイラストの進化を追いかけ続けてしまった。登場人物はラッカを除いて結構気に入っている。ラッカは時間をかけて練り直したい。 アリアはミリアと違って不完全な子だ。食いしん坊だし嫉妬深い。ルルリも性格はほぼ一緒だけど知識が少なくて哲学があるわけではない。二人は若者である。ティーさんは大人になって自律して働いている。エルハは寂しさから愛欲に溺れる、今作で最も堕落した女だ。エロいだけでなく、もっと心情を掘り下げたかった。 ふわふわ2023はプロットから練り直すと思う。連続性にはあまりこだわっていない。ファンタジーにするかも知れない。