; ふわふわ ; Copyright alria.net 2020 All Rights Reserved. ; 【タイトル・03章 教科書を作ろう 悪役令嬢】 ; ; 2020-08-30 ; 2020-09-01 ; 2020-09-02 お泊り会を改編 北海道を追加 ; 2020-09-17 メモを移動 ; 2020-10-02 ふよふよ大通形式に対応 ; 2020-10-05 第1話書き直しとタケル対応 ; 2020-10-25 表情対応 ; 2020-10-26 タイトルと音楽対応 ; 2020-11-05 本編再編と1項対応 【開始・復習テスト】 【背景・枢木小学校・教室】 【立ち絵・タケル無左】 【立ち絵・イオリ無右】 【音楽・小学五年生】 【項見出し】 タケル疑「復習テストどうだった?」 タケル「アタシは85点」 イオリ楽「小四までの問題だから簡単でしたね」 ミリア「家で習ってたから大丈夫だった」 タケル笑「天才の回答、見せてみろよー!」 ルルリ無「 」 タケル驚「あっ」 タケル哀「悪い、ごめん」 ミリア哀「36点・・・?」 ルルリ疑「どうしてかしら?」 ミリア「最初のやつ、一年生の算数だよね」 タケル無「これは式を書かないとバツになるんだよ」 ルルリ疑「一桁の足し算なのに?」 タケル疑「さくらんぼ計算、知らねーの?」 ルルリ無「もしもしラクリモサ、さくらんぼを教えて」 【背景・空】 〔新幹線、富士山〕 ラクリ「いってらっしゃい」 ルルリ「いってきまーす」 ルルリ『決算』 【背景・枢木小学校・教室】 【立ち絵・全消し】 【立ち絵・ルルリ】 ルルリ楽「ただいま!」 ルルリ喜「山形に行って修行してきたわ」 ミリア疑「なぜ山形」 ルルリ「温室栽培の佐藤錦が旬なのよ」 ルルリ喜「本物の味は全然違うわね」 ミリア無「算数に帰ってきて」 タケル無「で、こっちは式が書いてあるけど順番が逆」 ルルリ「掛け算は交換法則が」 イオリ無「習ったとおりに書かないとダメなんです」 ミリア「途中式を書いたらバツになるやつあるよね」 イオリ「書かないとバツになるのもありますね」 タケル「小数点以下がゼロになる答えの時は」 タケル「【.0】を書くとバツ」 イオリ「あと分数の時は」 ミリア「こっちのこれも」 ルルリ驚「私の知ってる数学と違う」 ルルリ疑「ミリアは何点だったの?」 ミリア「95点」 ミリア照「一問、計算間違えちゃった」 タケル笑「天才だな」 ミリア無「そんなことないよー」 イオリ無『私は満点だったけど黙っておこう』 【つづく】 【開始・復習テストへの復讐】 【背景・枢木小学校・教室】 【立ち絵・ルルリ楽】 【音楽・小学五年生】 【項見出し】 ルルリ「学習指導要領と」 ルルリ「学習指導要領解説を」 ルルリ楽「全編読み込んできたわ」 ミリア疑「しどーよーこー?」 ルルリ「長くなるけど丁寧に説明するわね」 ルルリ「まず、学校の先生は、地方公務員なの」 タケル眠「税金をたんまり貪ってる泥棒一味か」 イオリ哀「それは悪く言い過ぎだと思います」 ルルリ「学校を裏で操ってるのが教育委員会」 ルルリ「その教育委員を任命するのが市長ね」 ミリア楽「市長が一番偉い」 タケル楽「でも市長は選挙で選ばれるから公平だな」 ルルリ「ここまでが地方、ここからは国よ」 ルルリ「国全体の教育を取り扱うのが文部科学省」 ルルリ「文科省は国家公務員なの」 タケル「国家公務員は本物のエリートなんだろ」 イオリ無「給料は地方より多いと思いますけど」 ルルリ「で、文科省が先生用に作った」 ルルリ「生徒への教え方を指導する本が」 ルルリ楽「この学習指導要領なのよ」 ルルリ喜「私はこれを全部読んできた」 ミリア疑「ルルリは学校の先生になるの?」 ルルリ「ならないけど」 ルルリ「問題の作り方がわかれば」 ルルリ眠「おのずと答えもわかるでしょ」 タケル笑「自分の作ったテストなら百点取れるな!」 ルルリ無「ところが」 ルルリ無「ところがですよ」 ルルリ「学習指導要領を読んでも」 ルルリ哀「減点の意味がさっぱりわからないの」 ルルリ「さくらんぼ計算なんて」 ルルリ哀「最初からどこにも載ってないのよ」 イオリ「教科書には載ってますよ」 ルルリ「そうみたいね」 ルルリ「出版社が教科書指導書を出しているけど」 ルルリ無「手に入れられなかったのよ」 ルルリ哀「教師以外には販売しないって」 ルルリ楽「私、教免取ろうかしら」 イオリ疑「すぐ取れるものなんですか?」 ルルリ「2年くらいらしい」 ルルリ「教育実習もあるから短縮は難しそうね」 イオリ哀「小学校、終わっちゃいますよ」 ルルリ「まあ、教免は冗談よ」 ミリア「そう言いながら」 ミリア「ルルリはしれっと取ってきそう」 タケル「つまり、国が悪いんじゃなくて」 タケル疑「教科書と、それを使う地方がおかしいのか」 ルルリ「教科書検定という審査があるはずだけどね」 タケル疑「たとえば1+1=3って書いたらどうなる?」 ルルリ「検定に不合格。販売は差し止めになるわね」 イオリ「じゃあたとえば」 イオリ「りんごが1個あります」 イオリ「みかんが2個あります」 イオリ「あわせて何個ですか、という問題で」 イオリ無「2+1=3」 イオリ疑「だけを正解にするのはどうですか」 ルルリ疑「どうして 1+2=3 じゃ不正解なの?」 イオリ眠「先生が、みかんを先に書けと教えたからです」 タケル「教科書にそう書いてあるからだな」 ルルリ「それは学習指導要領に準拠していないような」 タケル疑「だからルルリは30点なんだよ」 ルルリ眠「りんごとみかんなら旬はりんごのほうが先よ」 ミリア疑「さくらんぼが一番先なのかな」 ルルリ哀「そもそもどっちだっていい事だわ!」 【つづく】 【開始・教科書をつくる】 【背景・枢木小学校・教室】 【立ち絵・タケル疑左】 【立ち絵・イオリ疑右】 【音楽・小学五年生】 【項見出し】 タケル無「ルルリ、戦おうぜ」 ルルリ疑「誰と?」 タケル「悪の出版社と地方公務員だよ」 タケル「そいつらがルルリを30点にしたんだよ」 ルルリ眠「36点だし」 ルルリ楽「これから覚えれば、きっと良くなるわよ」 イオリ「私たちって」 イオリ眠「いい高校に受かって、いい大学を出て」 イオリ眠「大きな会社で働くために」 イオリ「9年間も義務教育で勉強するんですよね」 タケル哀「大学のためなら12年間だな」 イオリ「小学校で36点の実力なら」 イオリ疑「いい大学には行けないと思います」 ルルリ「でも、私はもう・・・」 タケル「大学出たんだろ」 タケル無「学校に来なくて得点低いやつが大卒なら」 タケル無「アタシらは学校で教わる意味なんて何もない」 タケル楽「ルルリが先生になったほうがずっといいよ」 イオリ「でも教免は待てないし・・・」 ミリア疑「悪いのは教科書なんだよね?」 タケル無「そうだぞ」 イオリ無「そうですね」 ミリア「もしもしじぃじ、いい教科書が欲しい」 タケル喜「お嬢!」 ミリア「作るって」 ミリア笑「出版社」 イオリ驚「そこから?!」 ルルリ疑「三剣ゲームスの出版部門じゃダメなのかしら」 タケル楽「算数の攻略本!」 タケル笑「いいじゃん!」 イオリ疑「先生に採用して貰えるんでしょうか?」 タケル喜「まずはいい教科書を作らないとな!」 ミリア楽「出来たら頑張って説得しよう」 【つづく】 【開始・お泊り会】 【背景・枢木小学校・教室】 【立ち絵・イオリ楽左】 【立ち絵・ルルリ楽右】 【音楽・小学五年生】 【項見出し】 ルルリ「それじゃあ早速、合宿をしましょう」 ミリア疑「合宿?」 タケル「つまり、お泊り会だな!」 ルルリ楽「そういうこと」 ミリア疑「きょう?」 イオリ疑「明日も学校ですよ」 ルルリ「明後日は祝日だから」 ルルリ「明日の放課後にしましょう」 ミリア喜「おー!」 タケル喜「わくわくする!」 イオリ「それにしても突然ですね」 ルルリ楽「私が今回学んだ知識を共有するわ」 ルルリ「山形から佐藤錦を持ち帰ってきたのは昨日」 ミリア「さくらんぼ」 ルルリ「その佐藤錦がどっさり余ってるの」 ルルリ眠「そして、佐藤錦の賞味期限は」 ルルリ無「2日よ」 ミリア驚「明日まで・・・!」 イオリ驚「儚い!」 ミリア笑「みんなで手分けしよう!」 タケル疑「でも、母ちゃんの許可が出るかなあ?」 ルルリ「宮殿は避けた方がいいわよね」 タケル疑「ウチはちょっと狭いし厳しいかなー」 イオリ疑「うちも広くは無いですね・・・」 ミリア疑「ホテル行く?」 ルルリ疑「それは宮殿とあまり変わらない気がするわ」 イオリ喜「あ、おばあちゃんの家なら広さは大丈夫かも」 タケル疑「近いのか?」 イオリ楽「市内です」 ルルリ「じゃあ、今夜、みんなお家で聞いてみて」 ルルリ楽「大丈夫なら決行ね」 【つづく】 【開始・外泊許可】 【背景・枢木小学校・教室】 【立ち絵・ミリア左】 【立ち絵・ルルリ右】 【音楽・エルハをお届け】 【項見出し】 イオリ喜「おばあちゃんち、泊まっていいそうです」 タケル楽「ウチもOKだって」 ミリア楽「わたしも大丈夫」 ルルリ「じゃあ私も許可を取るわね」 タケル疑「いまから?」 ルルリ「もしもしジップ、外泊許可証を頂戴」 ルルリ「葉月一織の祖母宅」 タケル驚「ルルリ、大丈夫なのかよ」 ルルリ楽「すぐに届くわ」 『教室の窓から書類が放り込まれる』 イオリ驚「どういう仕組み?」 『ルルリ、ミリアにスマホを渡す』 ルルリ「お願い」 ミリア笑「撮りますよー、ハイ、ルルリ」 スマホのカメラ「ぴろりーん」 ルルリ「送信」 ルルリ眠「ジップは、親権に関する手続きを」 ルルリ楽「迅速に処理してくれるのよ」 ルルリ「報酬は写真一枚」 タケル「いいなー」 イオリ「フクザツです」 ルルリ「返信が来た」 『ルルリ、スマホを見せる』 〔仮面の男が親指を立てて写っている〕 ルルリ眠「これがジップよ」 イオリ哀「怪しいですね」 タケル哀「なんでマスクしてるんだ」 ルルリ哀「趣味、かしらね」 タケル疑「これアタシも頼めるの?」 ルルリ「私のジップだから他の人は使えないと思うわ」 タケル「三剣家って凄いんだな」 ミリア疑「うちはあんまり関係ないと思う」 タケル疑「いったい何者なんだ、ジップは」 ミリア「ルルリのパパだよ」 ルルリ「実父よ」 【つづく】 【開始・おばあちゃんち】 【背景・葉月婆宅・玄関】 【立ち絵・ミリア変左】 【立ち絵・ルルリ変右】 【音楽・子供の外遊び】 【項見出し】 ミリア変喜「おじゃましまーす」 タケル喜「ましまーす」 ルルリ変喜「まーす」 葉月婆「おやまあ、外国の子かい?」 イオリ楽「金髪風の子はミリアさん」 イオリ楽「外国人のような名前の」 イオリ楽「在日日系人とのハーフです」 ミリア変笑「日本はとてもいい国ですネー」 葉月婆「日本語、上手ねえ」 ミリア変楽「アリガトゴザイマース」 ミリア変「これ、ツマラナイものデース」 葉月婆「ありがとうねえ」 ルルリ変疑「また変な味の饅頭じゃないでしょうね」 ミリア変「新発売の、白い小犬クッキーです」 ルルリ変哀「面白くないって怒られるわよ・・・」 葉月婆「あなたはどこかで見たような」 タケル驚「気のせいだよ! こいつテスト30点だし」 ルルリ変哀「ぐぬぬ」 ルルリ変「これ、山形のさくらんぼです」 葉月婆「こんなにたくさん」 ルルリ変楽「あとでみんなで食べましょう」 タケル楽「委員長、さっそく夕飯の支度しようぜ!」 イオリ疑「うん。台所使っていい?」 葉月婆「包丁と火には気をつけるんだよ」 【つづく】 【開始・夕飯は中辛】 【背景・葉月婆宅・部屋】 【立ち絵・タケル楽】 【音楽・子供の外遊び】 【項見出し】 タケル疑「何とか誤魔化せたかな」 ルルリ変疑「テストの得点って言う必要ある?」 イオリ無「お婆ちゃん、勘がいいんですよ」 ミリア変照「ドキドキした」 イオリ眠「嘘はついてないですよ」 ミリア変眠「わたしも言ってない」 ルルリ変疑「よく考えると破綻してる気がするけど」 タケル笑「ミリアさんは外人っぽかったぜ」 ミリア変喜「出来てたかな?」 ルルリ変無『ハーフなら外国人ぶる必要無いのでは・・・』 タケル「料理作れる人ー」 ミリア変「やったことない」 ルルリ変「包丁以外ならレシピがあれば何とかなるわ」 イオリ「私もほとんど無いです」 タケル楽「じゃあアタシは切る係」 タケル「ルルリはレシピ調べて段取りして」 タケル「二人は皮むきとコンロ見張る」 イオリ楽「了解です!」 ミリア変無「がんばる!」 ルルリ変「コリアンダー、クミン、カルダモン」 ルルリ変「ターメリック、クローブ、ナツメグ」 ミリア変疑「ルルリが呪文を唱え始めた」 タケル「ルウしか無いよ」 ルルリ変驚「ガラムマサラとカイエンペッパーも?!」 ミリア変「無いよ」 『できあがり!』 ミリア変喜「いただきまーす」 タケル喜「だきまーす」 ルルリ変喜「まーす」 イオリ「いただきます」 葉月婆「いただきます」 タケル疑「辛さは大丈夫だった?」 イオリ楽「大丈夫です」 タケル「アタシはちょっと辛かったかも」 ルルリ変「中辛よね」 イオリ「うちは普段は甘口ですね」 ミリア変「うちのカレーの辛さと同じって頼んだ」 ルルリ変楽「こうやって人は大人の味を知るのよ」 タケル楽「アタシはまだ子供でいいかなー」 ミリア変喜「タケル料理上手だった」 イオリ楽「手慣れてましたね」 タケル「ウチは母ちゃんと交代で料理当番だからねー」 『ごちそうさまでした』 葉月婆「ご馳走になったから」 葉月婆「後片付けはやっておきますよ」 タケル「アタシも手伝います」 タケル「5人もいらないから、みんなは休んでて」 【つづく】 【開始・お風呂あがり】 【背景・葉月婆宅・部屋・夜】 【音楽・子供の外遊び】 【項見出し】 ミリア変喜「ただいまー! 夜の仕事おーわり!」 ルルリ変喜「おかえり!」 【立ち絵・タケル変】 タケル変楽「ルルリは風呂入らないのか?」 ルルリ変「一日くらい入らなくても平気よ」 ミリア変疑「タケルだよね?」 タケル変眠「それルルリにも言われた」 ルルリ変疑「新キャラ登場かと思ったわ」 イオリ喜「印象だいぶ違いますよね」 ミリア変喜「かわいい」 タケル変照「かわいくねーよ!」 イオリ喜「料理も出来るし、女の子らしいですよね」 タケル変哀「それが嫌なんだよ」 タケル変無「前の学校では、タケシって名乗ってた」 タケル変無「男子とつるんでガキ大将みたいな事やって」 タケル変無「自分のこともオレって言ってた」 ミリア変疑「そんなに女の子が嫌だったんだ」 タケル変「女の子が嫌ってわけじゃないんだけど」 タケル変無「かぐやはおしとやかな子になりなさい」 タケル変哀「みたいな押し付けが嫌で」 ルルリ変無「それは確かに嫌だわね」 タケル変「でも無理して男になるのも窮屈だった」 タケル変「アタシはアタシで居たいだけなんだよ」 ミリア変「タケルは可愛いと思う」 タケル変無「ありがとうだけど、かわい子ぶる気はない」 ミリア変疑「可愛いとかわい子ぶるの違いがわからない」 イオリ「男の子受けを狙うかどうかじゃないですか」 ルルリ変眠「自分のために服を着るか」 ルルリ変「他人のために服を着るかということね」 ミリア変笑「じゃあルルリはかわい子ぶってるんだね」 タケル変疑「ルルリは自分の趣味で着てるだけだろ」 ルルリ変笑「いや確かに、ミリア受けは狙ってるわね」 ミリア変「気を抜くと文字入りシャツ着ちゃうもんね」 ルルリ変楽「働きたくないでござる、とかね」 タケル変「それが本当のルルリならそれでいいと思う」 ルルリ変穏「私にとってはミリア受けするところまでが」 ルルリ変「私らしさのアイデンティティなのよ」 ミリア変穏「わたしは他人じゃないってことか」 【つづく】 【開始・学芸会は悪の財閥】 【背景・枢木小学校・教室】 【立ち絵・イオリ楽左】 【立ち絵・タケル疑右】 【音楽・小学五年生】 【項見出し】 ルルリ楽「私、悪役令嬢の役がやりたい」 イオリ疑「本当ですか?」 イオリ「一番なりたい人がいない役なんですよ」 ルルリ笑「好きなのよ、悪役令嬢もの」 タケル無「待ってアタシ話についていけてない」 イオリ「演劇の配役を相談してるんです」 タケル疑「それはわかるけど、どういう話なの?」 ルルリ「悪の財閥令嬢が土地と王子様を奪う話よ」 ミリア「姫と王子様が財閥をやっつけるんだよね」 タケル疑「え、なんで乗り気なの?」 イオリ哀「デスヨネー」 ミリア笑「わたし王子様になってルルリやっつける」 ルルリ眠「それなら私やっぱり姫がいいわ」 イオリ疑「悪役令嬢やってくださいよ」 ルルリ楽「ミリアと結ばれるんならやるわよ」 イオリ「それなら私とタケルで王子と姫やります」 ミリア疑「わたしは?」 イオリ「残ってる主役は王様ですね」 ルルリ「私に土地を返してっておねだりするのね」 ミリア楽「王様かー、まあいっか」 タケル疑「いいけど、いいのか?」 イオリ「お二人には前にも説明しましたけど」 イオリ「学芸会の演目には、演劇と演奏があるんです」 タケル「学習発表会だよな」 ルルリ「5月にやるのは早いわね」 イオリ「秋の文化祭が本番なんですよ」 イオリ「学芸会はクラスで出し物をする練習ですね」 タケル「アタシは演奏にする」 タケル「王子とかめっちゃ目立ちそうだし」 イオリ「王子役は私がやりたいです」 タケル驚「アタシに、姫を、やれと?」 イオリ「姫はセリフ少ないし楽ですよ」 タケル無「アタシの目を見ながらもう一回言ってみろ」 ミリア無「タケルの、姫は、絶対に、かわいい」 タケル驚「お嬢に言ってねえええ!」 ミリア穏「ドレスとメイクさんはうちで手配する」 タケル哀「いやだああああ」 ルルリ「演劇なんだから、普段とは違う自分になるの」 イオリ「普段とは一番違うわけだから、ぴったりです」 タケル照「よってたかってアタシを説得するな!」 【つづく】 【開始・読み合わせ 悪役令嬢】 【背景・枢木小学校・教室】 【立ち絵・イオリ】 【音楽・小学五年生】 【項見出し】 イオリ「演劇の配役は次のように決まりました」 イオリ「王国の女王 三剣さん」 イオリ「財閥の令嬢 須堂さん」 イオリ「王子は私、葉月がやります」 イオリ「王子と結ばれる姫 武田さん」 タケル哀「なんでだあああ!」 ルルリ「民主主義的な投票の結果よ」 タケル疑「他の役は投票なかったじゃん」 イオリ「立候補者が一人だけでしたので」 タケル哀「こんなことなら脇役にすれば良かった」 ミリア「タケルは姫がいいなー」 イオリ「一通り、台本を読み合わせてみましょう」 【立ち絵・全消し】 【立ち絵・ミリア穏】 【音楽・真面目モード】 『女王ミリア』 モブA「ごきげんよう、女王様」 モブB「ごきげんよう、女王様」 モブC「ごきげんよう、女王様っす」 ミリア喜「ごきげんよう、王国の皆さん」 モブA「女王様、畑を耕しておきました」 モブB「女王様、イノシシを退治しました」 モブC「女王様、お鍋の用意が出来たっす」 ミリア喜「ありがとうございます」 ミリア楽「明日からはわたしもやりますね」 ルルリ無「なんだろう、非日常感がまったく無いわ」 【立ち絵・全消し】 【立ち絵・ルルリ笑】 『令嬢ルルリ』 ルルリ笑「オーッホッホッホ!」 ルルリ「私は帝国財閥の一人娘」 ルルリ「この世の中にあるものはすべて手に入れる」 ルルリ楽「私に買えないものなんて何一つ無いのよ」 ルルリ「さあ、この王国の土地を」 ルルリ楽「ここから、ここまで、全部売りなさい」 ルルリ笑「この札束で頬を叩いて差し上げますわ!」 モブA「私たちの住む所が無くなってしまいました」 ルルリ「狭くてボロい長屋を建ててあげるわ」 ルルリ楽「家賃は毎月百万円でいいわよ」 モブB「そんなに高くては、暮らしていけません」 ルルリ笑「私の下僕になるなら、安くしてあげるわ」 モブC「背に腹は代えられないっす。下僕になるっす」 【つづく】 【開始・読み合わせ イケメン王子】 【背景・枢木小学校・教室】 【立ち絵・イオリ王無】 【音楽・真面目モード】 【項見出し】 イオリ王疑「そこまでだ、悪役令嬢!」 イオリ王無「民を苦しめるその所業、僕が許さないぞ!」 タケル驚「いつ着替えた」 イオリ王楽「まだ雰囲気だけですけど」 ルルリ楽「イオリ、格好いいわね!」 イオリ王疑「僕は王子だ! セリフを間違えるな!」 ルルリ「まあ、格好いい方!」 ルルリ穏「あなたの家賃はうんと安くしてあげるわ」 イオリ王無「断る! 僕はこの国の王子だ!」 イオリ王無「悪の財閥からみんなを守るぞ!」 ルルリ哀「そんな寂しいことを言わないで」 ルルリ眠「私の下僕になって」 ルルリ喜「一緒に贅沢の限りを尽くしましょう」 イオリ王「みんな! 王宮で暮らそう!」 イオリ王楽「もちろん、家賃はいらないよ!」 モブA「優しい王子様、ありがとうございます」 モブB「勇敢な王子様、ついていきます」 ルルリ哀「私のありがたいお誘いを無視したわね!」 モブC「自分も王宮で暮らすっす」 ルルリ笑「あなたは下僕にするから逃がさないわ」 モブC「ぎゃああああ」 『タケル様は告らせたい』 【立ち絵・全消し】 【立ち絵・イオリ王疑左】 【立ち絵・タケル照右】 タケル「おかえりなさいませ、王子」 イオリ王「財閥の支配者に会ってきた」 タケル「お怪我はありませんでしたか?」 イオリ王「大丈夫だ」 イオリ王喜「下僕になれと言われたが断ってきた」 タケル「もう危険な戦いはおやめくださいませ」 イオリ王「僕はみんなを守るために戦わねばならない」 タケル無「私は王子をお慕いモウシテオリマス」 イオリ王疑「気持ちがこもってないぞ、姫」 タケル哀「ドウカワタシトケッコンシテ」 ミリア無「すごい棒読み」 タケル照「だーっ! こんなセリフ言えるか!」 タケル疑「つーか女に何言わせんだよ」 タケル無「お前が積極的にプロポーズしろ!」 イオリ王眠「わがままなお姫様だな」 『イケメン王子』 イオリ王「僕は君のことを誰よりも深く愛している」 イオリ王「この戦いが終わったら」 イオリ王楽「どうか僕と結婚してくれないか」 タケル「ごめん、もう一回頼む」 イオリ王疑「えー?」 イオリ王楽「僕は君のことを誰よりも深く愛している」 イオリ王喜「この戦いが終わったら、僕と結婚してくれ」 タケル穏「いい」 イオリ王疑「それはどういう いい だよ」 タケル穏「尊い」 ルルリ穏「尊いわね」 ミリア喜「王子かっこいい」 イオリ王照「あんまり褒めないでよ」 イオリ王照「恥ずかしくなるだろ・・・」 ルルリ楽「イオリの王子は、なんか、いいわ」 タケル喜「いいな」 ミリア笑「グッドだー」 【つづく】 【開始・自助努力と弱者利権】 【背景・枢木小学校・教室】 【立ち絵・ミリア眠左】 【立ち絵・ルルリ無右】 【音楽・真面目モード】 【項見出し】 ミリア眠「王宮は満員で足の踏み場もありません」 ミリア眠「畑はすべて財閥に奪われて」 ミリア眠「食べるものも無くなってきました」 ミリア哀「このままではみんな倒れてしまいます」 ミリア哀「どうか土地を返してくれませんか」 ルルリ疑「いくら払えるのかしら?」 ミリア眠「お金はもうありません」 ルルリ疑「タダで土地をよこせって言うの?!」 ミリア無「民が苦しんでいるのです」 ミリア哀「みんながかわいそうです」 ルルリ眠「私は、弱者ぶった人間を最も軽蔑するわ」 ルルリ無「自分で努力せず、利権を要求するだけ」 ルルリ「努力が報われて大きな富になるからこそ」 ルルリ楽「人は頑張ろうとするのよ」 ミリア「お金持ちが貧しい人にお金を配れば」 ミリア「みんなが平等になります」 ミリア楽「平和のために尽くしましょう」 ミリア穏「皆が貴方を褒めたたえ、報われるでしょう」 ルルリ疑「感謝の気持ちを持たない乞食が増えるだけ」 ルルリ「強者が強者であるからこそ」 ルルリ眠「弱者は弱者なりに生きていけるのよ」 ミリア哀「それでも、困っている人は助けてあげたい」 【つづく】 【開始・読み合わせ 大団円】 【背景・枢木小学校・教室】 【立ち絵・イオリ王疑左】 【立ち絵・ルルリ笑右】 【音楽・真面目モード】 【項見出し】 ルルリ楽「そんな貴女にいい提案があるわ」 ミリア疑「提案?」 ルルリ「イケメン王子を私に差し出しなさい」 ルルリ笑「そうすれば、世界の半分をお前にあげるわ」 ミリア疑「半分だけなの?」 ルルリ「残りの半分は私とダーリンのものよ」 イオリ王疑「ダーリンって僕のことか?」 ルルリ喜「そうよダーリン!」 ルルリ疑「さあ、私に永遠の忠誠を誓いなさい!」 ルルリ穏「さっきの尊いセリフをもう一度言いなさい」 イオリ王疑「僕はお前の言いなりになんかならない!」 ルルリ「あらあら、困っている人を見捨てるの?」 ルルリ楽「賢明な王子様は、どうするのかしらねえ?」 タケル驚「王子! ああ、いったいどうすれば・・・」 ミリア疑「王子はお前になんか渡せません!」 ミリア無「それと浮気は良くないと思います!」 ルルリ楽「貴女が身代わりでもいいのよ? 女王様」 ルルリ笑「私と添い遂げるなら世界の半分をあげるわ」 ミリア笑「わたしでもいいの?」 ルルリ穏「もちろん」 イオリ王疑「いや、それじゃ話がおかしくなるでしょ!」 イオリ王無「ここは僕が犠牲になるしかない!」 タケル驚「はやまらないでください、王子!」 イオリ王「ごめん、姫、僕はみんなのために」 タケル疑「ん?」 タケル楽「王子、財閥の取引に従いましょう」 イオリ王疑「するけどさ、君がそれ言うか?」 タケル「そしてお嬢、じゃなかった女王も」 タケル楽「財閥に忠誠を誓いましょう」 ミリア喜「うん。誓います」 ルルリ笑「あら、私の大勝利ね!」 タケル疑「いや、これで財閥は」 タケル疑「王子のぶんの世界の半分と」 タケル疑「女王のぶんの残りの半分を」 タケル「どっちも王国にあげることになる」 タケル笑「つまり世界は全部王国のものになるのです!」 ルルリ哀「ぐぬぬ」 タケル楽「さあ、土地と食べ物が欲しければ」 タケル喜「女王と王子を返すのです!」 ルルリ驚「こ、断るわ」 ルルリ無「私お金持ちだし、また買うもん」 タケル疑「往生際が悪いです!」 タケル疑「それじゃあ話が終わらないのです!」 イオリ王「僕が仲良く二人と結婚するというのは?」 タケル疑「却下です! 浮気者は成敗なのです!」 ミリア喜「わたしがルルリと結婚して」 ミリア楽「王子と姫が結婚する」 ルルリ「それなら手打ちにできるわね」 イオリ王疑「ぜんぜん台本と違う話になっちゃった」 タケル楽「いいんじゃないですか? 平和的だし」 イオリ王楽「そうだね。台本をアレンジしてみようか」 ミリア『喋り方が役のまんま』 ルルリ『面白いからこのままにしておきましょう』 【章解放・040・04章本編を解放しました】 【章解放・031・03章1項を解放しました】 【おわり・030】